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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
花園の彼女
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ブロッコリーを使った時に謎の変異によってゴーレムのような姿になったらしい。


代償魔法の媒体でこのような変異をするのは実はすごく稀な現象であり、今でもその現象を解明するために研究が進められている。それほど特別な事例にも関わらずそれにつける名前が「ロッコちゃん」というのはどうなんだろうか。


物思いに(ふけ)っていると、もう一体別の野菜ではなく岩で作られたようなゴーレムがこちらをじろりと見ていた。多分、一般的に言うゴーレムとはコイツのことを指すんだろう。


「ひょっとしてこれもお前が作ったのか?」

「はい。ゴーレムのゴー君です。」

「ゴー君......。」


おかしい点を指摘するのさえ面倒くさい。もう当然のことのように捉えることにした。俺が基本的に脳筋だと思う奴によるある「考えるな、感じろ」というやつだ。つまりはフィーリングだけでコミュニケーションは成立するわけだ。変に頭を使わないで済むから俺としても楽で非常に助かる。


あと俺の中で疑問として残っているのは「なぜ植物を代償魔法の媒体にしたのか?」ということ。普通ならさっきのゴー君?のように岩のゴーレムを作ってそれを戦闘に使うんだが、植物を媒体にするのは異例の事態で、岩ほど丈夫ではないため意味はないと思われる。


「媒体を植物にしたのはどうしてだ?」

「活かせるかと思ったんです。植物の治癒能力を。」

「治癒能力?」

「薬草のように植物には傷を癒やす治癒能力がありますよね。もしその治癒能力を魔法によって増幅して、他者の傷を早く完治させられたら良いなって思いまして。」


彼女の冷静ながらも発想性のある考えは非常に興味が湧いた。俺は無意識のうちに忘れているだけであって魔法は使い手の使い方次第で可能性が無限に存在する。


やがて彼女の言う通り疲労感がなくなり、数日間溜め込んでいた眠気も完全に解消された。恐らく植物の治癒能力だけではない何かが作用していると思える。


その時、俺の中で1つの考えが浮かんだ。彼女をウィザード・トーナメントのパートナーとして迎え入れることが可能なら、危なげなく勝ち残ることができる。


「あのさ...」「あの.....」


互いに声を掛けるタイミングが揃った。なんてベタな展開だろうと俺は思ってしまう。漫画の読み過ぎでそういうロマンというか何かが俺には欠損している。


「あっ!ごめんなさい。なんですか?」

「いや、そっちから話してくれていい。」


変な動揺はしない。というかしたら負けな気がする。こういうのは相手に先に話させるのが良い。内容によってはこっちが話さなくても良くなるからだ。


「はい。イザベルさんのことは大変でしたね。」

「イザベル
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