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とある3年4組の卑怯者
8 百貨店(デパート)
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父は息子に金を渡した。藤木はそれを財布にしまった。
「うん、じゃ、行ってきます」
 藤木は待ち合わせの清水駅へ向かった。と、歩いている途中、父の言葉を思い出した。
(お土産か・・・)
 藤木はお土産という言葉で何かいいことを思いついたようだった。

 清水駅にはまる子とその祖父、そしてみどりとその祖父がいた。
「やあ、さくら、みどりちゃん」
 藤木はそれぞれの祖父にも挨拶した。
「こんにちは」
 みどりの祖父が言った。
「やあ、君が藤木君かい。ウチの孫がお世話になっているよ。みどりもいい友達がいてよかったじゃないか」
「はい、おじいちゃん。藤木さんは私の大切な友達の一人ですから」
「この子は、学校に友達がいないからね、君がみどりの友達になってくれて本当に嬉しいよ」
「あ、はい・・・」
 藤木はいつもはみどりの恋を半分迷惑がっていたものの、彼女が学校で友達がいないという事を知り、この時は流石に哀れに思ってしまった。
「それでは吉川さん、そろそろ行こうかの」
 まる子の祖父が催促した。
「そうですね」
 五人は電車で静岡駅へと向かった。
(う、嬉しい・・・。藤木さんとデートなんて・・・)
 みどりは電車の中で喜ばしく感じていた。実際はまる子や祖父たちもいるのでデートではないが。
「どうしたんだい?」
 藤木はみどりがニヤニヤしているのを見て気になった。
「いえ、何でも・・・」
 みどりはさらに照れてしまった。

 静岡駅前のデパートに到着した。
 まずは地下1階の食品が連なるところを散策した。
「うわあ、いろいろあるねえ!お、フルーツゼリーだってさ、おじいちゃん、これお土産にしようよ!」
「はは、そうじゃのう」
 まる子は祖父に甘えていた。一方みどりは藤木と歩くだけで感心しているようだった。
(藤木さんとこうして一緒に歩くなんてまさにこれは至福の時・・・)
「みどり、何か買ってほしいものはないのかい?うちへのお土産に何か買おうじゃないか」
「あ、そうですわね、おじいちゃん・・・」
(さて、僕はどうしようかな・・・)
 そのころ、和菓子のコーナーに立ち止まってどら焼きが目に入った。つぶあん、こしあんそれぞれ6個入り、合計12個で定価は1030円。
(よし、これを父さんと母さんへのお土産にしよう!)
 藤木はどら焼きを購入した。
(まだ残りはあるからリリィと笹山さんへのお土産を買おう)
 藤木は父の言葉で笹山とリリィにお土産を買うことを計画していたのだった。
「お、藤木どら焼きかったの〜?」
「うん、これは父さんと母さんのお土産にと思ってね」
「おお、アンタ親孝行しているね〜」
 これを見てみどりはうっとりしていた。
(藤木さんってお父様とお母様のためにお土産を・・・、家族思い
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