第六話 幽霊の父
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ですか?」
「いや。これから部下に訓練を付けるところだ。……そうだ、中尉も参加してみるか? 同じゲシュペンスト乗り同士、学べるところはあると思うのだが」
「っ! よろしいのですか!?」
後から思えば普段出さないような声量だった。
それも仕方ない、と自分の中で納得させる。ゲシュペンスト乗りの代名詞たる彼から指導を仰げることがどれほど貴重なことか。これは夢なのか、夢に違いない。思わず腕をつねってしまった。
「ああ。今都合が良いなら、一緒に行こう」
「お、お供します……!」
ライカにとってカイとは尊敬すべき偉大な人物だった。
『グランド・クリスマス』では敵同士であったが、彼へのリスペクトを忘れたことは一日たりだってない。小躍りしそうな気持ちを抑え、表情に出さないよう、ライカはカイの後ろを付いて行く。
(……初めて飛ばされて良かったと思えます)
そんなことを思いながら――。
◆ ◆ ◆
カイに連れられてやってきたのは伊豆基地のシミュレータールームだった。何でもそこや実機で機体データやモーションデータを取っていたりするらしい。
「ここだ。丁度やっているようだな」
「ここが……」
そう呟きシミュレーターを見ると、赤紫髪の少年と薄紫髪の少女が模擬戦を行っている途中だった。
(量産型ヒュッケバインMk‐U……。あの男の子と女の子じゃ随分装備が違いますね……)
少年の方の機体はどちらかというと接近戦主体で射撃兵装が最低限であるのに対し、少女の方は近接用から遠距離用とバランスの良い装備だった。
「アラド……突っ込み過ぎ」
「コイツをぶつければまだ分かんねえぜ、ラト!」
少女と少年の技量差は歴然だった。
というより、『アラド』と呼ばれた少年の動きが滅茶苦茶すぎる。換装武器でいくらでも仕様を変えられるヒュッケバインとはいえ、本体は構造フレームの都合上、そんなに頑丈ではない。
なのに少年はあえて牽制を最低限にし、テスラ・ドライブの機動性を以ての接近戦に持ち込もうとしている。いくら鉄球付きのハンマーを装備していたとしても近づくまでにやられては意味が無い。
(私なら……)
「中尉は奴をどう見る?」
ジッと眺めていたらカイに声を掛けられた。奴、というのはきっとアラドという少年の事を言っているのだろう。
そうだな、とライカは彼の戦闘を見る。確かに射撃は下手くそだし、接近するまでのフェイントもお粗末だ。――だけど。
「良いですね。見る人が見れば『下手』の一言で片づけると思いますが、私はそうは思いません。然るべき機体に乗せれば彼は誰よりも強くなると思います」
ライカの回答に、カイは頬を緩ませる。
「ふ……。俺もそう思うよ」
「う
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