第三十話
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は誰に聞いてもお前らの勝ちだぜ?」
また訳の分からない事を言い出した摩耶さん。しかし、誰に聞いても、と言うのはどういうことだ。
「アタシに水上機を飛ばさしたんだ。誇っていいことだ。」
そう言えば、俺達が真っ向勝負を挑んだとき、摩耶さんは水上機を飛ばしていた。摩耶さんが水上機を飛ばしたところを見たのは、俺も春雨も初めてだった。
「あれのおかげでお前らの正確な位置が分かるからな。」
「「あ。」」
俺と春雨は同時に理解した。
『着弾観測射撃』だ。
水上機を扱うことのできる艦種は、水上機から敵艦の正確な位置を計測して、それを艦娘に発信。それをあてに砲撃するものだ。水上機を扱える大多数の艦娘が使っている。
「流石に新入りと見習いにあそこまでやられるとは思わなかったからな。思わず飛ばしちまった。」
ただ、摩耶さんは今の今まで、そんなものを使っていなかった。
つまり――――――。
『手加減していたとはいえ、アタシに一矢報いたことは誉めてやる。だから褒美に教えてやる。』
「そーゆーことだ。」
摩耶さんは、俺と春雨の表情から、俺達がすべてを理解したのだと気づいたらしく、そう言った。
……………完敗だ。
「ふぅ――――…………。」
ため息をついて、壁にもたれ掛かる俺。春雨はその場にへなへなと座り込んでしまった。
なんたる屈辱。
手加減されて、それなのに一発当てたことに多少なりとも喜んで。
ちょっと本気を出されたら感じ何もできず。
最後には塩まで送られた。
もはや何も言うことはない。完全なる敗北。略して完敗。
俺はいつの間にか握っていた拳を開いて、深呼吸を一回。
吸って、はいて。
「…………いえ、大丈夫です。」
俺はそう言った。
壁から離れて。
摩耶さんを真っ直ぐ見て。
「俺は、たかが手加減された程度で最初の約束を変えるようなちんけな男じゃないと思ってる。」
「そんなちっせぇ理由で聞いたとしたら、俺に雷撃を教えてくれた木曾、一緒に訓練した春雨とかに、すげぇ失礼だ。」
「あなたに負けた時点で、俺が木曾の昔話しを手にする方法は完全にねぇんだ。テメェのプライドかメンツかは知らねぇが、んなことの出汁にされてたまるか。」
「いつか見てろよ。そんなプライド、ズタボロにしてやるからな。」
「俺は、勝者に愚弄される敗者じゃない。」
俺はそう言うと、摩耶さんと春雨に背を向けて歩き出した。
春雨は
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