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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第98話:夜分の呼び出しは厄介事の定番
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ろうけど、他に選択肢が無く未だ連絡しやすい人物を選んだのだろう。
「レクルトは現状だけを如何にかしたくて僕に連絡したんです。彼の希望通り、僕だけが出向いたって、現状打破だけで抜本的解決には貢献出来ない。今回の件の当事者であり、かつ最高権力者の陛下が行く必要が有ると思いますけどね!」
今日の出来事はリュカから聞いたが、私にはウルフ君の酔い潰れる理由は解らない。
確かにティミーが行けば、その店も客も落ち着かせる事が出来るだろうけど、リュカにだって同じ事しか出来ないとは考えないのだろうか?
「……お前は、ウルフが思い悩んでる原因が僕に有ると言うんだな?」
何でそうなるの? ウルフ君がリュカの理想に外れた行いをした所為で、未来の人々を苦しめるかもしれなくなったんじゃん。私には自業自得に見えるけどね!
「そこまでは言ってませんけど、僕にとって可愛い義弟なんですよ、彼は。一緒に悩みを軽くしてあげても良いんじゃないですか?」
チェス盤から目を離さない父親に、頼りになる兄貴は食い下がる。あっ、リューラが犠牲を顧みずクイーンでビショップを攻撃した。
「はぁ……じゃぁ少しだけ待ってろ。今はリューラの相手をしてるんだから」
そう言ってリュカは、自軍のクイーンで相手のクイーンを取り「チェックメイト」と美しい声で言い放つ。あぁ……耳元で囁かれたい。
「ああ! また負けた……」
「悪いなリューラ。お兄ちゃんが用事があるって言うから……」
リュカ的には、もう少しリューラの相手をしてたかったのだろう。素人目に見ても、ティミーが話しかけてきてからリュカの攻撃スピードが上がった事が解る。
「ゴメンねリューラ」
「ううん、いいのよティミー。貴方がお父さんに頼らないと何も出来ない事は知ってるから」
辛辣ねぇ……私の息子なんだから、私の前では少しくらい気を遣いなさいよ。
「……まぁ、そういう事ですね。奥様も愛人様方も、今夜は相手出来ませんので、その辺をご了承下さい。……じゃぁ行きましょうか、父さん」
文句らしい文句を言わせる事無く、ティミーはリュカを立ち上がらせる。
「やれやれ……お前の義弟は面倒臭いなぁ」
「ホントやれやれですよ。貴方の義息は面倒臭いですね」
二人とも心底面倒臭そうに出口へと歩いて行く……
自分の夫と息子なのだが、この二人が並んで歩くと絶景である。
こんなイケメンが2人もキャバクラに登場したら、さぞかし店内は盛り上がるだろう。
私も一緒に行っちゃおうかな?
ソッと立ち上がろうとしたら、リュカが振り返り私を見て小さく首を横に振った。
“来るな”って事だろう……
う゛〜……残念だわ。
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(グランバニア城下町・オモルフィ:バル)
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