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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv57 魔物の逆襲
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m以上は飛び上がっていた。明らかに人間離れした跳躍力である。
「クククッ、見ましたか、今の動きを。アズラムド国王はもう、私の意のままに操れるのですよ。その動きはもはや人の領域を超えている。つまり、今の私にはこれ以上ない相棒であり……人質でもあるのだ」
 そしてレヴァンは、アズラムド国王の首筋に、悠々と短剣を添えたのである。
「言っておきますが、このアサシンダガーは、ただの短剣ではありませんよ。この刃に使われている魔法銀は、即死もあり得る毒を常時出してますからね……さぁ、道を空けるんだッ!」
 ウォーレンさんは声を荒げた。
「レヴァン……お前、なんてことを! イシュマリアを裏切るつもりか!」
「ええ、そうですよ。いけませんか?」
「なッ!?」
「魔の世界の方が、私を正当に評価してくれるんですよ。ここでの下らない上下関係に、飽き飽きしていた私には願ってもない話でした。オルドラン家とアルバレス家という2大勢力がある限り、それらの分家の出である私のような者達は、如何に才能があろうと、それ以上にはなれまんせんからね。……わかりますか、この虚しい気持ちが」
「貴様、気でも違ったか!」と、アヴェル王子。
 レヴァンは平然と言い放った。
「いいえ、私は極めて冷静ですよ。さぁ、そこを退いていただこうか。アヴェル王子にウォーレン殿……そしてコータローよ」
 アヴェル王子とウォーレンさんは、苦虫を噛み潰したように顔を歪ませた。
 俺は2人に言った。
「アヴェル王子にウォーレンさん……あまり刺激をしないでおきましょう。……今のレヴァンは、陛下を殺す事に、躊躇いはないと思います」
「クッ…」
 2人は渋々、道を開けた。
 俺も魔光の剣を仕舞い、道を開ける。
 レヴァンはそれを見て、愉快そうに微笑んだ。
「そう、それでいい」
 次にレヴァンは後ろへと視線を向けた。
「さて、では後ろの者達も、そこで大人しくしていてもらおうか。少しでも動けば、アズラムド国王の命はない! そのつもりでいてください」
【クッ……貴様】
 ディオンさんや近衛騎士達は顔を歪ませた。勿論、他の王族達も……。
【それでは諸君、失礼するよ】
 レヴァンと国王は観覧席の出口へと向かい、悠々と歩を進めてゆく。
 と、その時、1人の美しい女性が出口から現れたのである。
 少しウエーブがかったブロンドの長い髪をした女性で、赤いドレスのような魔法の法衣を纏っていた。
 年は俺より幾つか上だろうか。見た感じ、20代半ばから後半といったところだろう。大人の女性といった感じだ。
 また、手には少し変わった杖を装備していた。先端に黄色い水晶球と曲がった角を組み合わせたようなモノが付いており、どことなく、ストロスの杖に似た形をしている。もしかすると、古代の遺物なのかもしれない。

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