Lv55 怒涛の羊たちの沈黙
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投獄されて4日が経った。
昨日はアズライル教皇がゾロゾロと取り巻きを連れて来たので、少し騒がしかったが、今日は恐らく、静かな1日になるのだろう。
俺は藁の上で胡坐をかきながら、ヴァロムさんに目を向けた。
ヴァロムさんは目を閉じて、静かに瞑想している最中であった。
俺が牢に入ってからずっとこんな感じだ。
(あと3日で処刑か……ヴァロムさんはどうするつもりなんだろう。まさか、このままという事はないよな……今、一体何を考えているんだろうか……ン?)
ふとそんな事を考えていると、階段の方から足音が聞こえてきた。
(……飯はさっき来たから、食事の配給ではないな。今度は一体誰だ……また教皇か?)
程なくして、入口でのぼそぼそとしたやり取りが聞こえてくる。
声の感じ的に、どうやら女性のようだ。が、声が小さいので内容は聞き取れなかった。
そして暫くすると、こちらへと向かう足音が聞こえてきたのである。
(俺は、イシュマリア城にいる女性の知り合いはいない。誰か知らないが、多分、ヴァロムさんに用があるんだろう。無関係の俺は不貞寝でもしとくか……)
というわけで、俺は鉄格子を背にして、藁の上で横になった。
その直後、足音はこの牢の前で止まったのである。
男の声が聞こえてくる。
「こちらでございます」
続いて、か細い女性の声が聞こえてきた。
「ヴァロム様……どうしても教えてほしい事がございます。貴方様はなぜ……あの場で、父と猊下にあのような事を仰ったのですか? それが……知りたいのです」
ヴァロムさんは目を閉じたままで、返事もしなかった。
もしかすると、瞑想という名の睡眠状態なのかもしれない。
女性はもう一度呼びかける。
「お願い致します、ヴァロム様! 私の恩人でもある貴方が、なぜ、このような事をしたのか、理由が知りたいのです!」
ヴァロムさんの瞼は開かない。
「ヴァロム様!」
しかし、ヴァロムさんは尚も無反応であった。
(何か知らんが、悲痛な訴えだ。どこの誰だか知らないが、仕方ない……俺も少し付き合ってやるか……)
俺は後ろを振り返らず、ヴァロムさんに声をかけた。
「ヴァロムさん……お客さんだよ。返事くらいしてあげたらどう?」
「……」
無視である。
俺は続けた。
「ヴァロムさん、俺にも無視を決め込むつもりかよ。返事くらいしてよ」
しかし、ヴァロムさんは無反応であった。
「おい、ヴァロムさん」
「……」
多分、寝てはいない筈だ。
このまま無視し続けるつもりなのだろう。
「おい、ヴァロムのオッサン。呼んでるよ!」
「……少しうるさいぞ、コータロー……静かにしておれ」
ようやく反応してくれた。
と、ここで、タイミングよく女性も呼び掛
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