Lv55 怒涛の羊たちの沈黙
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
魔導の手とよく似た機能を持っているみたいですね。とはいえ、その力は魔導の手を軽く上回るそうですが」
「ふぅん……なるほどね。猊下専用の武具って事か……」
「らしいですよ。レオニス殿の話だと、猊下の魔力以外反応しない特別製の杖だそうです」
「へぇ……」
その後、俺達は色々と話をしたが、ヴァロムさんが無視を決め込んでることもあり、他愛ない会話をするだけであった。
そして面会時間も終わり、フィオナ様はこの場を後にしたのである。
[W]
面会時間が終わり、1階に上がってきたフィオナは、2人の従者と共に、イシュマリア城内の通路を無言で進んでゆく。
通路を歩くフィオナの表情は冴えなかった。肝心な事が何も聞けずじまいだったからだ。
そしてフィオナは歩きながら、尚も考えていたのである。地下牢の2人の事を。
(ヴァロム様とコータロー様はこのままだと……明後日の朝、処刑されてしまう。私の命を救ってくれた2人の恩人が殺されてしまう……。本当に、このままでいいの? ……なぜかわからないけど、私達は間違った事をしているような気がしてならない……。確かに、ヴァロム様は、お父様と猊下の前で不敬な発言をされたわ。イシュマリアとイシュラナを侮辱するような発言を……。私も目の前で見ていたから、それは知っている。でも、ヴァロム様は何の理由も無しに、そんな事をするお方ではないわ。何か理由があるのよ……私達が知らない理由が……)
フィオナは苦悩していた。
先頭を歩くレヴァンは、そんなフィオナの表情を見て、立ち止まった。
レヴァンは言う。
「フィオナ様……お考え中のところ申し訳ございませんが、お話があります」
2人は立ち止まる。
フィオナは訊ねた。
「お話? 何でしょうか、レヴァン」
レヴァンは周囲を気にしながら、フィオナに耳打ちをした。
「……あまり大きな声では言えないのですが、あの者達を牢から救い出す方法がありますよ。上手くいけば、誰も捕まることなく、彼らを逃がす事ができるでしょう」
レヴァンの言葉を聞き、フィオナは大きく目を見開いた。
「馬鹿な、そんな事できる筈……」
「できます。フィオナ様とルッシラ殿……そして私だけで。とはいえ、明日でなければ無理ですが……」
フィオナはそこでルッシラを見た。
ルッシラはそんなフィオナを見て、首を傾げる。
「どうされました、フィオナ様」
「ルッシラ……」
フィオナはどうしようか悩んだが、とりあえず、話を聞いてみようと考えた。
「レヴァン、聞かせてください」
「では、場所を変えましょう」――
[X]
投獄されて7日経った。明日はとうとう、処刑の日である。
ヴァロムさんは相変わらず、牢内で瞑想中であった。投獄されてからという
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ