Lv55 怒涛の羊たちの沈黙
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そうですか。では納入業者の正体はどうでした?」
「……それも、お前の言う通りだった」
思った通りのようだ。
「そうでしたか。なんとなくですが、奴等の思惑がわかりましたよ」
「何!? どういう事だ一体……」
「今は言えません。俺が死んだら、そこの藁の下でも調べておいてください。一応、俺の考えを書き記しておきますから」
俺はそう言って寝床の藁を指さした。
2人は怪訝な表情をする。
「貴方は今、書く物を持っていないのでは?」
「石の床なんで、傷くらいはつけれますから大丈夫です。ですが、早めに見てくださいね。誰かが消しに来るかもしれませんから」
アヴェル王子とウォーレンさんは顔を見合わせる。
と、そこで、何者かの声が聞こえてきた。
「アヴェル王子、面会の終了時間です」
「もうか?」
「仕方ない。行きましょう、王子」
「コータローさん、また来ます」――
[V]
投獄されて6日後、またフィオナ王女がこの牢へとやってきた。
ここ最近、自分がハン○バル・レクターのポジションになってきている気がする、今日この頃である。
まぁそれはさておき、今日は前回と面子が違っていた。ルッシラという近衛騎士は同じだが、もう1人、金髪の若いイケメンを連れてきたのである。
ワンレンの女性かと思うくらいサラッとした長い髪の男で、かなり整った顔のパーツを備えていた。体型は長身の痩せ型で、あまり力はなさそうな感じだ。女のように見える男である。しかし、結構高い魔力の波動を感じるので、なかなかの使い手なのだろう。
また、その男は、イシュマリア王家の紋章が描かれた魔法の法衣を纏っており、手には祝福の杖を装備していた。
というわけで、早い話が、魔法使い系のイケメンがやってきたのである。
フィオナ王女は俺達に、軽く会釈をしてきた。
「あの、コータロー様……ヴァロム様はどんな様子でしょうか?」
俺はヴァロムさんに視線を向けた。
ヴァロムさんはいつも通り、瞑想中であった。
「ずっと、あんな感じですかね。ここ最近は、俺が話しかけても、返事すらしてくれないです」
「そうですか……」
「ところで、こちらの方は?」
「あ、紹介が遅れました。こちらは第1級宮廷魔導師のレヴァンです。私の側近の1人なのですが、コータローさんの事をお話ししましたら、ぜひ一度お会いしたいとの事でしたので……」
するとレヴァンという男は、一歩前に出て、恭しく自己紹介を始めた。
「お初お目にかかります、コータローさん。私はレヴァンと申しまして、フィオナ様の元にお仕えする宮廷魔導師でございます。色々と貴方のお話を聞きまして、ぜひ一度会っておかねばと思いましてね、今日はご一緒させていただいた次第であります」
死刑囚に対して、この丁寧な
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