Lv55 怒涛の羊たちの沈黙
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い、ルッシラさんに強い命令口調で告げた。
【近衛騎士ルッシラよッ! 貴殿の仕事は王女を守る事であって、言う事を聴く事ではない筈だッ! 目を覚ませッ! こんな事をして、どうやって王女を守るつもりだッ! 職務を放棄するつもりかッ!】
辺りにシンとした静寂が漂う。
ルッシラさんは力なくボソリと呟いた。
「わ、私は……」
「コータロー様……」
フィオナ王女は泣き崩れた。
と、そこで、聞き覚えのある声がこのフロアに響き渡ったのである。
【フィオナ……コータローさんの言う通りだ。そこまでにしておけ!】
2人は出入り口に目を向ける。
その直後、2人は大きく目を見開き、驚きの声を上げた。
「お兄様!?」
「ア、アヴェル殿下」
程なくしてアヴェル王子は、この牢の前にやってきた。
見たところ、ここに来たのは、どうやらアヴェル王子だけのようだ。
「フィオナ……今は俺の言う事を聞くんだ。ルッシラよ、フィオナを頼む。それと、お前達が眠らせた兵士も起こしておいてくれ」
「ハッ、アヴェル殿下」
ルッシラさんは泣き崩れるフィオナ王女を抱き起こす。
そして、2人は重い足取りで、この場から去って行ったのである。
暫し気まずい空気が漂う。
俺とアヴェル王子はずっと無言であった。
1分、2分と、静かな時間が経過してゆく。
そんな中、まず最初に口を開いたのは、アヴェル王子であった。
「……貴方は、いや、貴方がたは、これからどうするつもりなんだ? このままでは間違いなく処刑されてしまうが……」
「そうですね……処刑されてしまいますね」
アヴェル王子は俺の目を見ながら続ける。
「コータローさん……言っては何だが……貴方を見ていると、とてもではないが、これから死に行く者の顔には見えない。それが気になってね……」
「死に行く者の顔には見えないですか……でも、明日の事を考えると、俺だって怖いですよ。今まで幸運が重なって、何度か危機を乗り越えてきましたが、明日は流石に……天変地異でも起きない限り、死ぬ可能性の方が高いですからね……」
「では、どうするおつもりですか?」
「どうなるんでしょうね……」
「答えになってませんよ」
王子は憮然とした表情であった。
「ですね……。ところで話は変わりますが、有力貴族が処刑される時って、沢山の偉い人が来るんですね」
「話を逸らしましたね。まぁいいでしょう。……確かに、権力者が沢山来ますね。光誕祭以上に権力者が集まります。それというのも、有力貴族の断罪は、国の威信に関わりますからね。見せしめという部分と、権力者の結束を強める意味合いも込めて、そうなっているのだと思いますよ」
「俺もそう思います」
「話を戻しましょう。……貴方がたは、どうするつもりなのですか
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