Lv54 老賢者との再会
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[T]
使用人と共に屋敷の玄関を潜ると、大きなエントランスホールとなっており、そこには紺色のガウンを身に纏う執事っぽい中年男性が立っていた。
その男は丁寧な所作で頭を下げ、俺に挨拶をしてきた。
「お待ちしておりました、テリー殿。奥の応接間にて、ヴォルケン様がお待ちでございます。では参りましょう」
「ええ、お願いします」
俺は男の後に続く。
程なくして俺は、蔦のような意匠が施された、西洋アンティーク調の大きな扉の前へと案内された。
男はそこで扉をノックし、中に向かって呼びかける。
「ヴォルケン様、テリー殿が到着しましたので、お連れ致しました」
「うむ。入ってもらってくれ」
「ハッ」
初老の男は一礼し、扉を静かに開く。
「どうぞ、お入りください」
それに従い、俺は室内へと足を踏み入れた。
俺が入ったところで、扉は閉められる。
中は30畳くらいある大きな部屋で、起毛タイプの赤いカーペットが一面に敷かれていた。天井には美しい宝石がちりばめられたシャンデリアが吊り下げられており、それが室内を鮮やかに照らしだしていた。
また、両脇の壁には絵画や甲冑等が並んでおり、入口正面には、黒光りする立派な書斎机が鎮座している。書斎机の後ろには窓が1つあり、その前には煌びやかなソファーが2脚と、それらの間に朱色の美しいテーブルが1つ置かれていた。
シンプルではあるが、全体的に豪華な装いの部屋であった。まさに応接間といった感じである。
そして、その書斎机には今、白髪混じりの赤い髪を後ろに流した初老の男が1人おり、俺へと視線を向けているところであった。
年齢は60歳半ばといったところだろうか。衣服は紺と白の法衣を着ている。
リンカーンの様な顎髭を携えており、皴もそれなりに刻まれてはいるが、年の割に、なかなか精悍な顔つきをした男であった。身体も大きく、俺と同じくらいの上背がありそうだ。
まぁそれはさておき、扉が閉まったところで、初老の男は口を開いた。
「厳戒態勢の中、ご苦労であった。さ、まずは、そこに掛けられよ」
男はそう言って、手前のソファーを指さした。
「では、お言葉に甘えて……」
俺はソファーに腰掛ける。
男もこちらへと来て、向かいのソファーに腰を下ろした。
そこで男は話を切り出した。
「さて、まずはそなたの素顔を見せてもらおうか」
「はい」
俺は顔の変装を解いた。
「ふむ……確かに、アマツの民のような外見の者だ。ではもう1つ、確認させてもらおう。クリースト殿の紋章はあるかな?」
胸元からオルドラン家の紋章を取り出し、俺は男に見せた。
「よかろう……そなたを信じるとしよう」
少し間を空け、男は話を続けた。
「……我々はクリースト殿の導きで会う事になったわけで
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