暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv54 老賢者との再会
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ロムさんだけであった。おまけに、牢の中に照明などはなく、通路を照らしている松明のおこぼれをもらうだけなので、当然、薄暗い。ハッキリ言って、最悪な空間なのである。
 こんな所に何か月もいたら、流石に気が狂ってしまいそうだ。

 話は変わるが、出された食事は一応食べている。
 配給されるのは、神官食であるルザロとガラムーエというスープだが、目の前で兵士が毒見と称して、一応、少し食べていくからだ。
 完全に信用はできないが、両方とも、毒の部分を選り分けるのは難しい食事なので、とりあえず、食べているのである。
 つーわけで、話を戻そう。

 俺はやる事がない為、藁の上で横になり、静かに考え事をしていた。
(はぁ……この先どうなるんやろ……。今日は確か、異端審問の継続審議の日だった筈……。恐らく、今回の件でヴォルケン法院長は、異端審問決議で刑の執行を認めるだろう。つまり……俺とヴァロムさんはこのままいくと、そう遠くない将来、処刑されるに違いない。……はぁ処刑か……死にたくねぇ……。ン?)
 と、その時である。
 丁度そこで、カツン、カツンと、階段を降りる足音が聞こえてきたのである。
(誰か来る……1人じゃないな。複数の足音が聞こえる)
 程なくして鉄格子の扉が開く、キィィという甲高い擦れ音が聞こえてきた。
 俺はそこで耳を澄ました。
 途切れた話し声が聞こえてくる。

【ここに……運ばれ……異端者の……房に……】
【ハッ……アズライル猊下……異端……こちらでござ……】

 聞こえてくる単語から察するに、やって来たのはイシュラナ教の教皇のようだ。
 たぶん、取り巻き連中も来ているのだろう。
 暫くすると、こちらに向かって歩いてくる、複数人の足音が聞こえてきた。
 それから程なくして、足音は俺達の牢の前で止まったのである。
 牢にやってきたのは7人。ここの管理をしている兵士が1人。ヴォルケン法院長とヴァリアス将軍と若いイケメン魔導騎士が1人。高位のイシュラナ神官が2人。そしてもう1人は……いつぞや、アーウェン商業区の交差点で見た美丈夫、アズライル教皇その人であった。
 アズライル教皇は、白地に金の刺繍が施された豪華な神官服に身を包んでおり、手には青く美しい杖を所持していた。
 その杖の先端には、透き通った無色の水晶球が付いており、青い柄の部分には金色の装飾が施されている。それは非常に美しい杖であった。
 まぁそれはさておき、牢の前に来た者達は皆、こちらへと視線を向けていた。
 まるで見世物小屋といった感じだ。
 ちなみにだが、この団体がお着きになっても、ヴァロムさんは静かに瞑想をしていた。寝てはいない筈だ……多分。
 まず、ヴォルケン法院長が口を開いた。
「アズライル猊下、このアマツの民の男が、コータローという
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ