Lv54 老賢者との再会
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ロムさんだけであった。おまけに、牢の中に照明などはなく、通路を照らしている松明のおこぼれをもらうだけなので、当然、薄暗い。ハッキリ言って、最悪な空間なのである。
こんな所に何か月もいたら、流石に気が狂ってしまいそうだ。
話は変わるが、出された食事は一応食べている。
配給されるのは、神官食であるルザロとガラムーエというスープだが、目の前で兵士が毒見と称して、一応、少し食べていくからだ。
完全に信用はできないが、両方とも、毒の部分を選り分けるのは難しい食事なので、とりあえず、食べているのである。
つーわけで、話を戻そう。
俺はやる事がない為、藁の上で横になり、静かに考え事をしていた。
(はぁ……この先どうなるんやろ……。今日は確か、異端審問の継続審議の日だった筈……。恐らく、今回の件でヴォルケン法院長は、異端審問決議で刑の執行を認めるだろう。つまり……俺とヴァロムさんはこのままいくと、そう遠くない将来、処刑されるに違いない。……はぁ処刑か……死にたくねぇ……。ン?)
と、その時である。
丁度そこで、カツン、カツンと、階段を降りる足音が聞こえてきたのである。
(誰か来る……1人じゃないな。複数の足音が聞こえる)
程なくして鉄格子の扉が開く、キィィという甲高い擦れ音が聞こえてきた。
俺はそこで耳を澄ました。
途切れた話し声が聞こえてくる。
【ここに……運ばれ……異端者の……房に……】
【ハッ……アズライル猊下……異端……こちらでござ……】
聞こえてくる単語から察するに、やって来たのはイシュラナ教の教皇のようだ。
たぶん、取り巻き連中も来ているのだろう。
暫くすると、こちらに向かって歩いてくる、複数人の足音が聞こえてきた。
それから程なくして、足音は俺達の牢の前で止まったのである。
牢にやってきたのは7人。ここの管理をしている兵士が1人。ヴォルケン法院長とヴァリアス将軍と若いイケメン魔導騎士が1人。高位のイシュラナ神官が2人。そしてもう1人は……いつぞや、アーウェン商業区の交差点で見た美丈夫、アズライル教皇その人であった。
アズライル教皇は、白地に金の刺繍が施された豪華な神官服に身を包んでおり、手には青く美しい杖を所持していた。
その杖の先端には、透き通った無色の水晶球が付いており、青い柄の部分には金色の装飾が施されている。それは非常に美しい杖であった。
まぁそれはさておき、牢の前に来た者達は皆、こちらへと視線を向けていた。
まるで見世物小屋といった感じだ。
ちなみにだが、この団体がお着きになっても、ヴァロムさんは静かに瞑想をしていた。寝てはいない筈だ……多分。
まず、ヴォルケン法院長が口を開いた。
「アズライル猊下、このアマツの民の男が、コータローという
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