Lv54 老賢者との再会
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して俺は、鉄格子の扉で閉ざされた薄暗いフロアへと連れて来られた。ここが地下牢なのだろう。
また、地下という事もあってか、静かで重苦しい雰囲気の所であった。
上の華やかさは全くない。無機質な石の壁と鉄格子だけの世界である。
階段を降りたところで、ラサムは鉄格子の扉を開く。
扉の向こうにはカウンター型の机があり、そこには茶色い鎧を着たイシュマリアの兵士が3人いた。
彼らの背後には壁があり、そこには鍵らしきモノが吊り下げられている。
数はそれほど多くない。見た限りだと3つほどであった。多分、牢はそれだけなのだろう。
まぁそれはさておき、兵士は将軍を見るなり、慌てたように深々と頭を下げた。
「ヴァ、ヴァリアス将軍、お勤めご苦労様でございます」
「ご苦労、諸君。これより、異端者をここに収監する。魔炎公がいる房の鍵はどれだ?」
「少々、お待ちください」
兵士の1人が、奥の壁に掛けられた鍵の1つを持ってきた。
「こちらになります」
将軍は鍵を受け取ると、兵士に言った。
「さて、諸君らは、ここで待機していてくれ。万が一ではあるが、この者が逃げ出す事もあるかもしれぬのでな」
「ハッ、畏まりました」
「では行くぞ、ラサム」
「来い、異端者」――
俺達は牢獄の通路を進んで行く。
それから程なくして、ヴァリアス将軍とラサムは立ち止まった。
場所的に一番奥の房だ。手前に2つの牢があるが、そこは無人であった。
ちなみにだが、奥の房だけは普通の牢とは違い、鉄格子の色が不気味な紫色となっていた。
拘束具と同じ色をしてるところを見ると、魔法が使えないように対策された牢なのだろう。
そして……その牢には今、腰を下ろして静かに瞑想する、ローブ姿の老人が1人いるのであった。
ラサムは鍵を解錠し、鉄格子の扉を開いた。
将軍はそこで、俺の猿轡を外してくれた。
口の自由が得られた俺は、暫しの沈黙の後、恩人でもあり、師でもある、この友人の名をボソリと口にしたのである。
「……お久しぶりです。ヴァロムさん」
ヴァロムさんはゆっくりと瞼を開き、俺に目を向けた。
「コータローか……久しぶりじゃの。残念じゃが……捕まってしまったようじゃな……」
「すいません、ヴァロムさん……捕まってしまいました……」――
[W]
俺が投獄されて3日が経過した。
誰もここには来ない。来るのは食事を運んでくる兵士だけであった。
物音などは殆どなく、聞こえてくるのは、入口にいる兵士達の途切れ途切れの会話くらいだ。勿論、地下という事もあって、外の音などは全く聞こえない。
また、視界に入るモノも、冷たい石の壁と紫色の鉄格子、寝床として敷かれた藁、それと汚物を入れる壺、そして、ずっと瞑想を続けるヴァ
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