Lv53 クリーストの使者として
[1/11]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
[T]
夕食を終えた俺は、暫しラティと寛いだ後、使用人に案内され、ウォーレンさんの部屋へと向かった。
部屋の中に入ると、ウォーレンさんとアヴェル王子がソファーに腰掛けていた。
アヴェル王子の脇には白い布に包まれた物体が2つ置かれている。それらは細長い物とこじんまりとした物であった。
ちなみにだが、今日のアヴェル王子は変装していない。どうやら、素顔のままで来たようだ。とはいえ、魔法使いのように茶色いローブを纏っているので、王族っぽい出で立ちではないが……。
それからミロン君の姿はなかった。夕食の時も居なかったから、多分、何らかの用事をしているのだろう。
扉が閉められたところで、ウォーレンさんは口を開いた。
「休んでいたところ、すまんな。ではまず、ここに掛けてくれるか」
俺はウォーレンさんに促され、ソファーに腰かける。
そこでアヴェル王子が話を始めた。
「コータローさん、先日はどうもありがとうございました。まずは先に礼を述べさせてもらいます。それから、報酬としてこれをお受け取りください」
アヴェル王子はそこで、脇に置かれた細長い物を手に取り、巻かれている布を解いた。
すると中から、美しい杖が姿を現したのである。
アヴェル王子は、その杖を俺に差し出した。
杖の先端には、黄金に輝く大きな三日月の装飾があり、それに寄り添うように、青い水晶球のような物が取り付けられていた。三日月の装飾部には、古代リュビスト文字と思われるモノが幾つか刻まれており、青い水晶球からは、清らかな魔力の波動が発せられている。俺の見立てでは、かなり高位の杖だと感じた。
杖を受け取った俺は、王子に訊ねた。
「これは?」
「この杖は、イシュマリアの北部地方にある古代遺跡から出土した杖だそうで、所謂、イシュマリア誕生以前の古代の遺物というモノです」
「古代の遺物……」
「ですが……どういったモノなのかは、未だにわかっておりません」
「え? わからない?」
「はい。実は、城の古代遺物の研究者達も、よくわからないとこぼす杖なのです。しかし、この杖からは只ならぬ気配を感じます。それは研究者達も言ってました。もしかすると、コータローさんなら解明できるかもしれないと思ったので、報酬と言っては変ですが、これを持って来たのであります」
なんかよくわからんが、古代の杖を報酬にくれるみたいだ。
喜んで良いのか悪いのか、判断しかねるところである。
「そうですか。ところで、ここに古代リュビスト文字みたいなのが刻まれてますが、なんて書いてあるか解読されてるんですかね?」
「研究者の話では、そこにこう書かれているそうです……暗黒の瘴気に蝕まれし時……杖に祈りを捧げよ……精霊ストロスの力が邪悪な穢れを浄化する……と。研究者達も結局何のこと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ