Lv52 仲間との別れ
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地上に出た俺達は暫しの間、脱出した穴のある丘で体を休めた。
空を見上げると日も傾き始めていた。感覚的にだが、日没2時間前といったところだ。
(……もう少し休みたいところだが、あまり長くここに留まるのは良い選択ではないな。冒険者や魔導騎士団は、まだあの林にいるのだろうか……。何れにしろ、そろそろ動いたほうが良いな……)
俺はアヴェル王子にその旨を伝えた。
「アヴェル王子、日が少し傾いてきました。明るい内に移動をした方が良いと思うのですが、あの林はどの辺りなのか、わかりますかね?」
「すいません、俺はこの辺には少し疎いんですよ。ウォーレン、わかるか?」
ウォーレンさんは周囲を見回しながら、困った表情で答えた。
「それが、今どの位置にいるのかがわからないので、私も少し困っているところなのです」
と、ここで、バルジさんがある方向を指さした。
「多分、この先でしょう。この方角を暫く進むと林が見えてくる筈です。そこが、先程の林だったと思います。だろ、ラッセル?」
「バルジの言う通り、このまま真っすぐ進めば、先程の林ですよ」
アヴェル王子はその方角を見詰めた後、神妙な面持ちで皆に告げた。
「ここにいる皆に話がある……」
全員がアヴェル王子に注目する。
「今日……この洞窟で見たあの遺言についてだが……あれは他言無用でお願いしたい。今は王都を混乱させたくないのだ。この約束を守ってもらえるだろうか」
暫し、無言の時が過ぎてゆく。
程なくしてバルジさんが口を開いた。
「わかっております、アヴェル王子。絶対に他言はしません。皆も良いな? これは絶対だぞ」
その言葉に皆が頷く。
アヴェル王子は安堵の表情を浮かべた。
「……ありがとう、皆。さて、では疲れているところ悪いが、コータローさんの言う通り、日も傾き始めている。そろそろ戻るとしようか」
「ええ、そろそろ移動を始めましょう」
俺達は頷き、のっそりと立ち上がる。
そして、戦闘のあった林に向かい、行軍を開始したのであった。
俺達は道無き雑草地帯を進んでゆく。
周囲に目を向けると、葦のような背の高いイネ科の植物が、至る所に群生していた。
その為、ローブなどが引っかかって進みにくかったのは言うまでもない。
(はぁ……地上にでてホッとしたが、正直、こういう所は進みたくないなぁ……)
俺はそこで、斜め上にいるラティに目を向けた。
ラティは涼しそうな顔で、パタパタと羽ばたいていた。
(……考えてみると、ラティはこういう時って良いよな。何の障害もないし……)
ふとそんな事を考えていると、ラティと目が合った。
「どうかしたん、コータロー。ワイの顔になんか付いてるん?」
「いや、そうじゃないよ。こういう時、ラティは飛べる
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