Lv52 仲間との別れ
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2人は深く頭を垂れた。
「お顔を上げてください、2人共……それについては、もう良いです」
「しかし……」
「良いんです……それに俺、実は皆に感謝しているんですよ。楽しい旅ができましたからね……。短い間でしたけど、気の合う仲間とする旅って、良いもんだなぁって……ずっと考えてました。また、こんな風に旅が出来たらいいな、てね。だから、礼を言いたいのは俺もなんですよ。皆にね……」
この場にいる俺とラティ以外の4人は、少しジーンときているようだった。
「確かに、楽しい旅だった。今までで一番……」
「本当ね……楽しかった。実は私も……コータローさんと同じ事を思ったわ」
レイスさんとシェーラさんは少し目が潤んでいた。
続いてアーシャさんとサナちゃんも。
「私も、皆さんと旅が出来て、本当に楽しかったですわ」
「私もです……今までで一番楽しい旅でした。本当に、一番……」
サナちゃんは大粒の涙を流す。
そして、俺に抱き着き、身体を震わせて、静かに泣き続けたのであった。
「サナさん……」
アーシャさんはそれ以上何も言わなかった。
もの悲しくもあり、感慨深くもある静寂が、この部屋に漂い始める。
だが次の瞬間、ラティがKYぶりを発揮したのであった。
「そっかぁ……皆、そないに涙出るほど、楽しい旅やったんか……ワイも今度、コータローと旅してみよっと」
これを聞いた瞬間、皆がガクッと肩を落としたのは言うまでもない。
相変わらず、空気を読まない奴である。
まぁそれはさておき、ここで仕切り直しとばかりにレイスさんが言った。
「コ、コータローさん……まぁそういうわけでだ。我々は明日、フェルミーア様の元へ向かうわけだが、この屋敷を出る前に貴方に渡したいモノがあるのだ」
「渡したいモノ? いいですよ、別に……。そんなに気を使わないでください」
「そういうわけにはいかないわ。これはイメリア様からの贈り物だから、絶対に! 受け取ってもらうわよ!」と、シェーラさん。
「え、サナちゃんから?」
俺はそこでサナちゃんに目を向けた。
サナちゃんは頷く。
「私にはもう必要ないモノなので、是非、コータローさんに受け取ってもらいたいのです。レイス、お渡ししてください」
「ハッ、イメリア様」
レイスさんは懐から、純白の布に包まれた何かを取り出す。
そして布を解き、小さな水差しを思わせる小瓶を俺に差し出したのである。
瓶の中には、仄かに光を放つ黄色い液体が入っていた。
何の液体かはわからないが、どことなく魔法薬のような印象を受けた。
「これは?」
サナちゃんが答えてくれた。
「これはラミナスに伝わりし、古の魔法薬であります。消耗した魔力をすべて回復させる魔法薬で、【エルフの飲み薬】という名で伝わる、非
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