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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv46 ヴィゴール( i )
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 程なくして物置の空洞にやってきた俺達は、とりあえず、そこで周囲を見回した。
 すると、沢山の魔導器が所狭しと置かれた雑然とした様相と、それらを整理するシャーマン達の姿が視界に入ってきたのである。
(どうやら、あのシャーマン達は整理整頓してるみたいだな。さて……どこに壺を置いとこうか……ま、いいや、その辺に置いとくか)
 つーわけで、俺は適当に壺をその辺に置いた。
「これ、ここに置いときますね」
 だがそこで、俺達に向かい激が飛んできたのである。
【オイッ、何をしているッ! ソレをそんな所に置くなッ!】
 激を飛ばしたのは整頓中のシャーマンであった。
 俺はとりあえず、謝っておいた。
「すいません……ここに置いては不味かったですか? 最近ここに来たので、何も知らないんです」
【なんだ、新入りか……仕方ない。ついでだから教えといてやる。この壺に入っている魂の錬成薬はな、ヴィゴール様が嫌う液体なのだ。この液体がヴィゴール様に掛かった日にゃ、ヴィゴール様に何されるかわからんぞ。命が惜しくば、取り扱いには十分注意する事だな】
「ヴィゴール様が嫌う? どうしてですか?」
【お前、何も知らないんだな……。ヴィゴール様はグァル・カーマの法が成功された御方だから、この液体を浴びてしまうと、上手く行った魂の融合が不完全なモノになってしまうんだよ。だからだ】
「そ、それは本当なのですか?」
 今の話が事実なら無視できない事である。
【嘘を言ってどうする】
「ところで今、不完全なモノと仰いましたが、実際にはどんなことが起きるのですか?」
【実際にか? そうだな……ヴィゴール様の場合だと、魔物としての魂の方が強いだろうから、魔物の姿に固定されてしまうんじゃないか。多分、そうなるだろう。そうなったら最後、また一からやり直しだ。そんな失態をした日にゃ、命はないぞ】
「今の言葉忘れないようにします。ところでなんですが、この液体を普通の魔物や人が浴びるとどうなるんですか?」
【は? なにも起こらないに決まっているだろ。影響があるのは、魂を融合した者だけだ】
「そうなのですか。なるほど」
【まぁそれはともかく、命が惜しいなら、今言った事は肝に銘じておく事だな】
 シャーマンはそれだけ告げると、整理整頓を再開した。
 そして俺はというと、今の話を脳内で復唱しながら、心の中で、静かにほくそ笑んだのである――

 その後、俺とアヴェル王子は魔物の待機場所等を確認したところで、来た道を戻り、ウォーレンさん達の所へと帰ってきた。
 俺達は早速、ウォーレンさんに報告した。
 ちなみにだが、俺はそこで、自分の考えや今後の展望等も話しておいた。
 2人は俺の提案に少し怪訝な表情を浮かべたが、事情が事情なので、やむを得ないという決断を下してくれた。

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