Lv44 新たな疑惑
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ある筈……」
「本当ですか、コータローさん」
「ええ、間違いありません。ルイーダの酒場にいる仕入担当の方に訊いてみたのですが、仕入れ値は今までとそんなには変わらないそうです。これは、どういう事なんでしょうか? 価格の変動がないという事は、市場での取引数量もそれほど変動がないという事です。なので、それが少々気になりましてね」
2人は俺の話を聞き、顔を見合わせた。
「確かに、妙な話だ……」
俺は話を続ける。
「それから、まだ付け足す事があります」
「なんだ?」
「お2人は、ウィーグ地方にあるイスタドと呼ばれる町はご存知ですか?」
2人は頷く。
「ああ、知っているぞ。ウィーグ地方に入ってすぐにある湖畔の町だ。それがどうかしたのか?」
「今、その町は魚が面白いほど獲れて、大賑わいだそうですよ」
「イスタドがか? しかしだな……あそこの湖はアウルガム湖と直接通じてはいないぞ」
「そうなのですか。ですが、直接は通じて無くても、回り回ってという事も考えられます。この際ですから、アウルガム湖の支流となっている河川を、もう一度、調査した方がいいかもしれませんね。それと、これ程までの魚介類をどうやって市場で流せたのかという事も調べた方がいいと思います。ある筈のない量が出回っているのですから」
「ふむ……その必要はありそうだな」
「ウォーレン、漁師には箝口令を敷いてあると聞いたが、他の対応はどうしているんだ?」
「それがですね……今言ったように、近隣の街から魚介類を回してもらっているだけの筈です」
「だとすると、確かに妙だな……」
「ええ。ですが、市場がいつも通り回っているのなら、今はそれ程混乱は起きてないという事です。深刻な事態でもないですから、その辺の事は後日、漁師組合や市場の者に確認しておきますよ」
「ああ、そうしてくれ」――
その後も俺は、2人と色んな話をした。
内容は主に、この間あった魔の島での事だったが、その他にも、今の王都の状態や、ヴァロムさん関係の話も2人から聞く事ができた。
まぁそんなわけで、かなり有意義な時間を過ごせたのだが、そこで俺は少々気掛かりな話を耳にしたのである。
それは何かというと、国王だけでなく、アヴェル王子の弟君であるアルシェス王子の様子までもが、ここ最近おかしくなってきたという話であった。
王城の事は俺にはよくわからないが、色々とキナ臭い出来事が立て続けに起きている事を考えると、Xデーまで……もはや時間はそれほど残されてないのかもしれない。
[V]
翌日の昼頃、俺はラッセルさん達と共にルイーダの酒場へとやって来た。目的は勿論、バルジさんに会う為だ。が、ルイーダさんに確認したところ、バルジさん達はまだ来てないとの事であった。
というわけで、俺達はと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ