Lv44 新たな疑惑
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「お前達はそれを見たのか?」
「ああ、俺達はその儀式を目の当たりにした。だが……儀式は失敗に終わった。そして……その実験台に使われた冒険者達は……無残な姿になって命を落としたんだよ……。おまけに魔物達は、その儀式を続ける為に、更に冒険者の身体が必要みたいな事を言っていた。つまり、あの依頼は、冒険者を誘き寄せる為の罠の可能性があるんだ」
この場に重苦しい空気が漂う。
バルジさんは暫しの沈黙の後、口を開いた。
「……そんな事があったのか。ところで、実験台にされたという、その冒険者は救出できなかったのか?」
ラッセルさんは身体を震わせ、絞り出すように言葉を紡いだ。
「く、悔しいが……俺達では……助ける事すらできなかった。敵はあまりにも……強大だったんだ……」
「そうか……」
「だからバルジ、悪い事は言わない。あの依頼は止めておくべきだ。でないと、被害は甚大なものになるぞ」
だが、バルジさんは頭を振った。
「ラッセル、それはできない。今の話を聞いて、尚更、行かねばならないという気持ちになったよ」
「しかしだな、バルジ……あそこはとてつもなく強い魔物達で溢れ返っているんだぞ」
マチルダさんとシーマさんも、ラッセルさんに続く。
「そうよ。私達も見たわ。しかも、私達が殺されかけた魔物みたいなのが、わんさかといたのよ。あそこは危険よ!」
「ラッセルの言ってる事は本当なのよ。やめた方が良いわ、バルジ」
と、ここで、バルジさんのパーティメンバーと思われる戦士系の男が口を開いた。
「おいおい、アンタ達は、金の階級の冒険者だろ。そんな情けない事言うなよ。ゼーレ洞窟で男達が殺されたのを見て、ビビッちまったんじゃないだろうな。こっちは総勢200名以上で洞窟に向かうんだぜ。しかも、全員、金の階級以上の王都を代表する冒険者だ。これだけ揃えば、そう滅多な事はねぇさ」
バルジさんはその男に同調する。
「ゴランの言うとおりだ。いいか、ラッセル。あの洞窟に向かうのは、精鋭の冒険者だ。そう滅多な事にはならん筈さ」
「魔物は……王都の冒険者では歯が立たないかもしれない。それくらいに強い可能性があるぞ」
するとそこで、ゴランと呼ばれた男戦士が、ラッセルさんを嘲笑ったのである。
「おいおい、一度、殺されかかったからって、何弱気になってんだよ。おい、バルジ、こりゃラッセル達は駄目だぜ。一度やられたから、腰抜けになってやがる」
「ちょっと何よ、その言い方はッ!」
流石にカチンと来たのか、シーマさんは声を荒げた。
バルジさんはゴランという戦士を諫める。
「おい、よせ。口が過ぎるぞ、ゴラン!」
「はいよ……」
ゴランは返事をすると、手をヒラヒラさせながら、ぶっきら棒な態度をとった。
結構、ムカつく仕草である。
「すまないな、ラッ
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