Lv43 魔窟からの帰還( i )
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ゼーレ洞窟から出た俺達は、徘徊するトロルやサイクロプスを警戒しつつ、来た道を戻ることにした。
だが、流石に皆も疲れたのか、暫く進んだ所でマチルダさんが俺に耳打ちしてきたのである。
「コータローさん……少し休まない? あんなモノを見た後だから、気分的にちょっと優れないのよ。……お願い」
「そうですね。もうそろそろ変化の杖の効果も切れそうですし、一度休憩挟みましょう。でも、ここはあまりにも見通しが良すぎるので、向こうに見える小さな林で休みましょうか」
俺はそう言って、少し離れたところにある林を指さした。
ここから見た感じだと、魔物の姿も確認しやすい上に、隠れるのにも丁度よさそうな林であった。
「ありがとう、コータローさん」
「じゃ、行きますか」――
林へとやって来た俺達は、周囲に魔物がいないのを確認したところで、適当な木陰に腰を下ろし、暫し休むことにした。
腰を下ろしたところで、ラッセルさんが項垂れたように、ボソリと呟いた。
「まさか……ゼーレ洞窟があんな事になっていたなんて……糞ッ。剣聖・ゼーレが魔物を掃討した洞窟に、また魔物が棲みつきだしたというのか……」
他の3人もラッセルさんに同調する。
「コータローさんの言うとおりだったわ……あんな所にノコノコ出掛けて行ったら、私達もあの冒険者と同じ目に……」
「でも、どうするの。バルジ達はこの事知らないから、あそこに行くわよ。王都に戻ったら、行くのを止める様に言わないと」
「そうよ。バルジ達に知らせないといけないわ」
俺はそこで、もう一度、4人に言っておく事にした。
「バルジさん達に忠告するのは構いませんが、変化の杖の事は伏せておいて下さいね」
ラッセルさんが訊き返す。
「え? どうしてですか?」
「これはラッセルさん達の為でもあるんですよ。これを告げる事によって、俺やラッセルさん達に危害を加えようとするモノが現れるかも知れませんからね。それ以外にも、非常に難しい問題を孕んでいるんです。噂程度ならともかく、実際にそういう道具があると知ったら、王都の住民達も人を信じられなくなり、疑心暗鬼に陥る可能性もあります。そうなると王都は少し混乱しますよ。ただでさえ、魔物に怯える日々を送っているんですから。まぁ要するにですね、今はその時ではないという事です」
そう……変化の杖の事は、今はまだ知られない方が良い。
ラッセルさん達に言った理由も然る事ながら、ヴァロムさんの計画に支障が出る事も考えられるからだ。
いや……ヴァロムさんの計画が俺の推察どおりならば、その可能性が高いのである。
「しかしですね……魔物が人に化けるというのは、流石に無視できません。俺達冒険者にとって死活問題ですから」
「言い方が悪かったですね。つまり、俺がお願いし
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