Lv36 邂逅の酒場・ルイーダ
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「それはそうとラッセル、身体はもういいのか? 怪我をしたと聞いたが」
「ああ、もう大丈夫だ。昨日、そこにいるコータローさんに治療してもらったのでな」
男は俺に視線を向ける。
「おお、貴方がラッセルの治療をされたのか。友人を助けてくれた恩人ならば、礼を言わねばなるまい。ラッセルを救って頂き、感謝する」
「いえいえ、お互い様ですから、そんな気にしないでください」
「ついでだ。名乗っておこう。俺の名前はバルジという。このオヴェリウスで活動する冒険者だ」
バルジ……そういえば、さっき大通りで、ラッセルさんがこの名前を口にした気がする。
確か、あのスキンヘッド野郎の兄貴の名前だったか……。
まぁとりあえず、本人かどうかはわからないので、今は置いておこう。
つーわけで俺も自己紹介をしておいた。
「私はコータローと言います。私も一応、冒険者です」
ミロン君とラティも、俺に続いて自己紹介をした。
「僕はミロンと言います。宮廷魔導師の見習いです」
「ワイはラティや。ヨロシクな、バルジはん」
「ああ、ヨロシクな。しかし、……面白い組み合わせだな。冒険者と宮廷魔導師見習いと、ドラキー便の配達員という組み合わせは、初めて見たよ」
「まぁ成り行きみたいなもんですよ」と俺。
「ははは、成り行きか。まぁこんな世の中だ、そう言う事もあるか。さて……」
そこで言葉を切り、バルジさんはラッセルさんに視線を戻した。
「それはそうとラッセル、お前達が受けていたオヴェール湿原の洞窟調査だが、あれはどうなった?」
「ゼーレ洞窟の調査の件か?」
「ああ」
「それなら、もう断ろうと思っている。あそこに向かったが為に、フェリクスやバネッサ達もあんな事になったからな」
「そうか……なら、今度は俺達と一緒にどうだ?」
ラッセルさんは首を傾げる。
「バルジ達と? どうしてまた」
「実はな、少し気になる話を聞いたんだよ」
「気になる話?」
そこでバルジさんは少し前屈みになり、顔をテーブルの中央に寄せ、周囲の者達に聞かれないよう注意しながら、囁くように話し始めたのであった。
「アムートの月に入ってから、幾つかのパーティがあの洞窟に向かったのは、お前達も勿論知っているな?」
「何組かの冒険者達が消息を絶ったという話の事だろ。勿論、知っているよ。それがあったから、今回の洞窟調査依頼があったんだしな」
「じゃあ、これは知っているか? その内の1人が、命からがら洞窟から逃げ帰ってきたという話を」
「それは初耳だ。……帰って来た者がいたのか?」
「ああ、それがいたんだよ」
「それって、いつの話?」と、シーマさん。
「帰ってきたのは一昨日の晩だ。しかも、薄汚れたみすぼらしい姿でな」
「一昨日の晩か……俺達と行き違いだな。で、その帰ってき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ