Lv34 宮廷魔導師ウォーレンの依頼
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のものが違いますわね」と、アーシャさん。
「ええ、確かに……」
程なくして城塞門の前にやってきた俺達は、そこで一旦馬車を止め、早速、騎士達からのチェックを受ける事となった。
まず騎士の1人が、ウォーレンさんの跨る馬へと歩み寄る。
ウォーレンさんに歩み寄ったのは、口髭を生やした凛々しい中年の男で、この中では一番の年長者のようであった。
もしかすると、ここを受け持つ責任者なのかもしれない。
騎士はウォーレンさんの前に行くと、ニコヤカに話しかけた。
「ウォーレン、お勤めご苦労だな」
「グスタフ、お前もな」
どうやらこの騎士が、先程言っていたウォーレンさんの知り合いのようだ。
「アリシュナへ入るか?」
「ああ」
「では形式通り、通行証を見せてもらうとするか」
ウォーレンさん達はグスタフと呼ばれた騎士に、ハガキサイズのカードと思わしき物を見せた。
グスタフと呼ばれた男は、それらを流し見ると手振りを交えて言った。
「よし、いいぞ。通ってくれ」
「待った、グスタフ。それとだな……」
と、ここでウォーレンさんは俺達の方を指さし、騎士に告げたのである。
「後ろの方々は、湖の件で協力してもらう者達だ。私の邸宅で打ち合わせをしたいから、通してくれないだろうか?」
(湖の件? ……なんだ一体……)
なんとなく嫌な予感がしたが、とりあえず今は、ウォーレンさんのやり取りに注視しよう。
「ン、という事は、アリシュナへの通行証は持ってないのか?」
「ああ、そうだ」
「むぅ、しかしだな……」
騎士は少し渋った表情をする。
「心配するな、グスタフ。責任は私が持つ。それに湖の件は、あまり公にはできない話なのは、お前も知っているだろ。だから頼むよ」
グスタフと呼ばれた騎士は、そこで俺達を一瞥すると、溜息混じりに言葉を発した。
「……ふぅ、仕方ない。俺とお前の仲だ。でも、これっきりだぞ。こんな事を繰り返していたら、俺も上から何言われるかわかったもんじゃないからな」
「すまないな、グスタフ。この埋め合わせは近いうちに必ずする」
「じゃあ、ヴァルハイムで一杯出来るのを期待して待ってるよ」
ウォーレンさんは苦笑いを浮かべる。
「それは期待しないでくれ。あんな所で飲み食いしたら、あっという間に散財してしまう」
「はは、違いない。まぁ今のは冗談だが、上手い物を食わしてくれるのを期待して待ってるよ。さて、では通るがいい」
「恩に着る」
そして俺達は、第2の階層・アリシュナへと移動を再開したのである。
[U]
オヴェリウス・第2の階層・アリシュナ……ラティの話によると、ここは中小の貴族が住まう区域だそうだ。
貴族が住んでいるだけあって、先程までいた平民の住まう第1の階層と比べると、周囲
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