Lv32 ラティと共に去りぬ
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落ちる場所まで戻ってきた俺とラティは、とりあえず、そこで一息入れる事にした。
度重なる魔導の手の使用で、俺も流石に疲れたからである。
俺がその辺にある適当な岩に腰を下ろしたところで、ラティが話しかけてきた。
「なぁ、コータロー。さっき、王族のねぇちゃんに、誰が敵かわからんみたいな事を言うてたけど、どういう事なんや?」
「ああ、それか。それはな、奴の目的や行動を考えると、この神殿の者から情報を得ていたか、もしくは、神殿の中に潜んで情報を得ていた可能性があるからさ」
「なんやて、ほんまかいな。なんでそう思うんや?」
「ン、理由か? 少し長くなるぞ」
「かまへんで」
俺は少し整理して話す事にした。
「まず頭に入れておいてもらいたいのは、これは王族を狙った犯行だという事だ。それを念頭に俺の話を聞いてくれ」
「おう、わかった」
「俺達は奴が来るところを岩陰から見てたわけだけど、あの時、ラティは妙に思わなかったか?」
ラティは空を見上げて考える仕草をする。
「妙っていわれてもなぁ、元々が妙な奴やったさかい。う〜ん、わからんわ。で、どういう事なん?」
「あの魔物は神殿のある方角からやってきて、3人の近衛騎士を眠らせた後、周囲を確認せずに中に入っただろ。まずそれがおかしいんだよ。中にいるのは王族なんだから、警備は厳重と考えるのが当然だ。だから狙う側も相当慎重にならないといけないんだよ。特に、奴は、単独で行動していたわけだしな」
「言われてみるとそうやな。あの黒ローブの奴、何も確認せんと入って行ったわ」
「だろ? おまけに、あの建物は出入り口が1つしかないから、後方から攻められるとかなり苦しくなる。だから、周囲の確認は必須なんだよ。だが奴はそれをしなかった。つまり、奴は周囲に誰もいない事を知っていた可能性が高いんだ」
「でも、単独で行ったのは、自分の強さに自信があったからやないんか? よくそういう無茶な奴っておるやんか」
俺は頭を振る。
「いや、それはないな。俺は奴と戦ったからわかるが、かなり用心深い奴だった。色んな状況に対応できるよう、ある程度の準備をしていたからな。そんな奴が、行き当たりばったりの行動をするとは考えられないし、力押しで目的を達成できるほど強力な魔物でもなかったよ。もし多数の近衛騎士に一度に攻められたら、幾ら奴でもただでは済まなかった筈だ」
「ふぅん、そうやったんか」
ちなみにこれは、奴の正体を知った時に思った事だ。
魔王クラスの魔物やアークデーモンみたいな魔物なら単独でも行けると思うが、奴の正体はバルログである。強引に行けるタイプの魔物じゃないのだ。
確かに呪いの杖やザラキがある為、多少の犠牲は払うかも知れないが、奴の行動を見る限り、杖は対象者に向けないと効果がない感じだった。
つまり、あの
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