Lv30 巡礼地ピュレナ(i)
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った。中で何かがあったのではあるまいか」
ルッシラの言葉に、赤い神官服を着た初老の神官が反応した。
「ご案じ召されるな、ルッシラ殿。この奥は女神の力によって守られた、云わば、神聖なる聖域。まず危険が及ぶような事などはありますまい」
「しかし、グスコー神殿管理官。今まで、これほど時間が掛かった事があったであろうか」
尚も、ルッシラは険しい表情を浮かべていた。
「フィオナ様が遅いのは、女神から深い啓示を受けているからとも考えられますぞ。何れにしろ、我等に出来るのは、ただ待つ事のみ。近衛騎士である貴殿の思いもわからぬではないが、今はフィオナ様が出てくるのを待ちましょうぞ」
「まぁ確かに、そうなのだが……ン?」
と、その時であった。
白い壁が横へスライドし、奥からフィオナが姿を現したのである。
疲れた表情を浮かべたフィオナは、ややおぼつかない足取りでルッシラ達の元へとやってきた。
そこでルッシラは、フィオナに労いの言葉を掛けた。
「フィオナ様、長い間、お疲れ様でございました。顔色が優れぬようですが、お身体の方は大丈夫で?」
「え、ええ……身体はなんともありません。ですが……」
フィオナは歯切れ悪く答えると、納得のいかない表情を浮かべた。
ここでグスコーと呼ばれた神官が口を開いた。
「フィオナ様、なんと啓示があったのかは存じませぬが、女神の意思は古来より、このイシュマリア国の進むべき道標であります。それを、ゆめゆめお忘れなきよう」
「グスコー神殿管理官……。私もイシュマリアの末裔ですから、それは十二分に心得ております」
「ならば、何も言いますまい」
「……では神授の儀は終わりました。もう戻りましょう」
【ハッ】――
フィオナ達一行が女神像の台座から出ると、外はもう完全に日も落ち、空に浮かぶ満月が辺りを照らす、薄闇の世界となっていた。
一行はレミーラで足元を照らしながら、台座の反対に位置するピュレナ神殿へと移動を始める。
それから程なくして、神殿へと足を踏み入れた一行は、中の礼拝堂と思われる場所で一旦立ち止まったのである。
そこで、グスコーがフィオナに向かい、恭しく頭を下げた。
「フィオナ様、沐浴の用意は既に済んでいるそうなので、このまま光の泉へとお向かい下さい」
「わかりました。ではルッシラ、すいませんが、着替えの用意をお願いします」
「畏まりました」
ルッシラは返事をすると、女性騎士の1人に指示をした。
「フィオナ様のお着替えをすぐにご用意し、光の泉まで持ってくるのだ」
「はッ、ただ今」
指示を受けた女性騎士はキビキビと返事をし、この場を後にした。
そして、フィオナはルッシラに告げたのである。
「では行きましょう、ルッシラ」
「はい、フィオナ様」
神殿の外へ出
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