Lv29 ルーヴェラにて
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飛んだ人、初めて見ましたッ!」
「と、飛びたくて飛んだんじゃないわ!」
そして俺は思ったのだ。
あまりアホなことはするもんじゃないな、と……。
[Y]
想定外の事態になった為、俺は女湯見学を諦め、温泉へと向かう事にした。
その道中、ラティが俺に謝ってくる。
「コータロー、ごめんな……。足元がヌルヌルになってるのは、予想外やったんや。勘忍してや」
ラティはショボンと目尻を下げた。
この様子を見る限りだと、悪気はないのだろう。
「いや……まぁあれは、俺も注意不足やったわ。良く考えたら、木が腐っている状態だというのを忘れていたよ。不用意に足を乗せた俺も悪いから気にすんな」
そう、木が湿気て腐っている場合は、殆どの場合、ヌルヌルなのである。
某総合格闘技の試合でもあったが、ヌルヌルでは捕まえる事すらままならないのだ。
「そ、そうか。ほんなら、ええわ。今度また、埋め合わせはちゃんとするさかいな」
「いいって別に。そんなに気にすんなよ。ン……あれは」
俺はそこで前方に目を凝らした。
なぜなら、温泉の入り口付近に人だかりができていたからである。
しかも、何やら物々しい様相となっていた。
「もしかすると、さっきのやつかもしれへんなぁ。コータロー、ここは知らんふりしとこうな」
「ああ、そうしよう」
俺とラティは、何食わぬ顔でそこへと向かった。
すると近づくにつれ、なにやら緊迫した声が聞こえてきたのである。
【おい、しっかりしろ!】
【ゲイル! アンザ! ヒュイ! 返事をして!】
どこかで聞いた声であった。
俺は近くにいる野次馬のオッサンに、白々しく訊いてみる事にした。
「あの、何かあったんですか?」
「ン? ああ、なんか知らんが、温泉の屋根が落ちてきて、下にいた客に直撃したんだそうだ」
「ほ、本当ですか!?」
「なんやてッ」
それを聞いた俺とラティは、人ごみを掻き分け、負傷者の所へと急いで向かった。
俺達の所為で女性に怪我を負わせてしまったかと思うと、いてもたってもいられなかったからである。
それにもしかすると、アーシャさんやサナちゃん達に被害が及んでいるかも知れないのだ。
程なくして負傷者の所へ辿り着いた俺は、そこで意外な者達の姿を見る事となった。
なんと床には、腰にタオルを巻いて股間を隠した素っ裸の若い男が3人倒れており、またその傍には、彼等を介抱する3人の若い男女の姿があったのだ。
俺はこの者達を知っていた。
「テト君達じゃないかッ」
「あ、コータローさん」
「どうしたんだ、一体?」
倒れている3人と同様、素っ裸で腰にタオルを巻いたテト君は、困ったように話し始めた。
「そ、それがですね、突然、屋根が崩れてきて、この
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