Lv22 仲間の決断
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棲みついた魔物の事を言っているのだろう。
「そのようですね。昨晩、この村の方から、奥にある坑道に魔物が棲みついたと聞きました。そして、村の中にいる冒険者は、その為に、ここにいるとも……」
男は頷くと、大きな溜息を吐いた。
「フゥゥ……ええ、まったくです。なんで突然、魔物が棲みつきだしたのかわかりませんが、私共もホトホト困っているのですよ。あんな醜い魔物が棲みついたとあっては、この平穏なガルテナの評判も地に落ちてしまいますからな。早いところ何とかしてもらわないと、商売に差支えてかないません……」
「でしょうねぇ。その辺にいる魔物ならいざ知らず、よりにもよって死体の魔物ですもんね。心中お察ししますよ」
俺は今の話を聞き、昨日あったリジャールさんとのやり取りを思い出した。
実は昨日、棲みついた魔物の事は他言しないよう冒険者達に念押ししてあると、リジャールさんは言っていたのだ。
やはり、死体の魔物がうろつくなんて事が知れ渡ると、ガルテナの長閑なイメージに傷がつくからだそうである。まぁこれはもっともな話だ。
またリジャールさんの話によると、この村の主な収入源は、山菜や山の畑で収穫した農産品と民芸品であるらしい。そういったことから、それらを求めてやってくる商人もいるので、今のこの現状を知られると色々と都合が悪いそうなのだ。まぁ要するに、風評被害を気にしているのである。
(腐った死体がうろつく村なんて、まんまバイ〇ハザードだもんな……そんな噂が蔓延したら、誰も来なくなるわ……)
ふとそんな事を考えていると、男が訊いてきた。
「ところでお客様は、これからどちらに向かわれるのですかな。山を降りてフィンド方面へですか? それともこの先にあるモルドの谷を抜けて王都の方角へ?」
どう答えようか迷ったが、誤魔化す事でもないので俺は正直に言った。
「実はですね。私達はこの後、リジャールさんという、この村の方と共に、坑道の中を調べる事になっているのですよ」
「え!? それは本当ですか? リジャールさんと?」
男はそう言って目を見開いた。
「ええ、本当です。リジャールさんから直々に頼まれたものですからね」
「そうだったのですか……リジャールさんに。ですが、この村にいる冒険者達の話だと、中々に敵は手強いそうです。なので、十分な準備をしてから向かわれた方がいいでしょう。特に毒を持っているらしく、かなり面倒な魔物だと聞きましたからね」
確かに、色々と準備は必要だ。
話のついでなので、道具屋の場所も訊くことにした。
「あ、そうだ。話は変わりますが、この村に薬草や松明等を売る道具屋はあるのですか?」
「ああ、それでしたら、私共の方で副業として営んでおりますが」
「本当ですか。それは助かる」
まさか目の前に道具屋があったとは……。
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