暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv18 旅の決断
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い。だから、用心はしておいて方がいいぞ」
「ああ、それは言われなくてもわかってるよ」――


   [U]


 宿屋に戻った俺とアーシャさんは、暫しの間、俺の部屋で休憩することにした。
 ちなみにこの休憩は、坂道を歩いてきた疲れをとるのもあったが、これから始まる話し合いの前に、気を落ち着かせておくという意味合いもあった。
 レイスさん達の話如何によっては、彼等と旅を続けるかどうかの決断を下さなければならないので、あまり感情的な議論にならないようにしたいのである。
 まぁ早い話が、それなりの覚悟を持って挑まなければならないので、ワンクッション置いたのだ。
 ベッドに腰掛けた俺は、目を閉じてゆっくりと深呼吸を繰り返した。
 アーシャさんも俺の心境を察したのか、部屋に入ってからは話しかけてこなかった。
 その為、部屋は静かであった。周囲から聞こえる小さな物音も大きく聞こえるくらいに……。
 だがそれが良かった。それらの物音が聞える事によって、雑念が徐々に取り除かれていくのを俺は実感したのである。
 心が穏やかになってきたところで、俺はアーシャさんに視線を向けた。
「……では、行きましょうか。アーシャさん」
「ええ……」
 そして俺とアーシャさんは立ち上がり、この部屋を後にしたのである。

 それから程なくして、俺達は彼等の部屋の前へとやって来た。
 俺はそこで一度深呼吸し、扉をノックしたのである。
「レイスさん……コータローです。お話があるのですが、今、よろしいでしょうか?」
 扉の向こうから女性の声が聞えてきた。
「鍵はかかっておりませんので、どうぞ、お入りになってください」
 声の感じからすると、どうやらサナちゃんのようだ。
 まぁそれはさておき、俺はノブに手を掛け、扉をゆっくりと開いた。
「では失礼します」
 扉を開くと、レイスさん達は神妙な面持ちで、俺とアーシャさんを迎えてくれた。
 3人からは張り詰めたような緊張感が伝わってくる。
 予想していたことだが、俺達の決断に、彼等は戦々恐々としているのかもしれない。
 俺が扉を閉めたところで、まずレイスさんが口を開いた。
「コータローさんにアーシャさん、どうぞ、こちらにお座り下さい」
 レイスさんは部屋の奥に置かれた2つの椅子に、俺達を案内した。
 俺とアーシャさんは、その椅子に腰掛ける。
 すると次の瞬間、なんと3人は、まるで王に謁見するかの如く、俺達に跪いたのである。
「コータローさんにアーシャさん……我々は貴方達に黙っていた事があるのだ。まずはその非礼をお詫びしたい。そして今から、それを包み隠さず話そうと思うので、どうか最後まで聞いてほしいのだ」
 レイスさんはそう言って、俺達に頭を下げた。
 この突然の展開に、俺は少し驚いた。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ