Lv18 旅の決断
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い。だから、用心はしておいて方がいいぞ」
「ああ、それは言われなくてもわかってるよ」――
[U]
宿屋に戻った俺とアーシャさんは、暫しの間、俺の部屋で休憩することにした。
ちなみにこの休憩は、坂道を歩いてきた疲れをとるのもあったが、これから始まる話し合いの前に、気を落ち着かせておくという意味合いもあった。
レイスさん達の話如何によっては、彼等と旅を続けるかどうかの決断を下さなければならないので、あまり感情的な議論にならないようにしたいのである。
まぁ早い話が、それなりの覚悟を持って挑まなければならないので、ワンクッション置いたのだ。
ベッドに腰掛けた俺は、目を閉じてゆっくりと深呼吸を繰り返した。
アーシャさんも俺の心境を察したのか、部屋に入ってからは話しかけてこなかった。
その為、部屋は静かであった。周囲から聞こえる小さな物音も大きく聞こえるくらいに……。
だがそれが良かった。それらの物音が聞える事によって、雑念が徐々に取り除かれていくのを俺は実感したのである。
心が穏やかになってきたところで、俺はアーシャさんに視線を向けた。
「……では、行きましょうか。アーシャさん」
「ええ……」
そして俺とアーシャさんは立ち上がり、この部屋を後にしたのである。
それから程なくして、俺達は彼等の部屋の前へとやって来た。
俺はそこで一度深呼吸し、扉をノックしたのである。
「レイスさん……コータローです。お話があるのですが、今、よろしいでしょうか?」
扉の向こうから女性の声が聞えてきた。
「鍵はかかっておりませんので、どうぞ、お入りになってください」
声の感じからすると、どうやらサナちゃんのようだ。
まぁそれはさておき、俺はノブに手を掛け、扉をゆっくりと開いた。
「では失礼します」
扉を開くと、レイスさん達は神妙な面持ちで、俺とアーシャさんを迎えてくれた。
3人からは張り詰めたような緊張感が伝わってくる。
予想していたことだが、俺達の決断に、彼等は戦々恐々としているのかもしれない。
俺が扉を閉めたところで、まずレイスさんが口を開いた。
「コータローさんにアーシャさん、どうぞ、こちらにお座り下さい」
レイスさんは部屋の奥に置かれた2つの椅子に、俺達を案内した。
俺とアーシャさんは、その椅子に腰掛ける。
すると次の瞬間、なんと3人は、まるで王に謁見するかの如く、俺達に跪いたのである。
「コータローさんにアーシャさん……我々は貴方達に黙っていた事があるのだ。まずはその非礼をお詫びしたい。そして今から、それを包み隠さず話そうと思うので、どうか最後まで聞いてほしいのだ」
レイスさんはそう言って、俺達に頭を下げた。
この突然の展開に、俺は少し驚いた。
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