Lv17 フィンドの町
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祈りの指輪で魔法力を少し回復した後、俺は地面に腰を下ろし、先程のザルマとレイスさん達のやり取りを思い返していた。
彼らはあの時、サナちゃんの事をイメリア様と呼んでいた。またそれに加え、ザルマはこんな事を言っていたのである。ラトゥーナの末裔を殺すことが任務と……。
何の末裔なのかは知らないが、彼らの言動から察するに、サナちゃんはラミナスという国において、かなり高貴な存在だったに違いない。
俺の予想では国の要人か、もしくはその子女といったところだろうか。
そして、レイスさんとシェーラさんは、サナちゃんを護衛する従者だと考えるとシックリくるのである。
思い返せばこの2日間、サナちゃんは、いつも2人に守られるように行動していた気がする。
必ずサナちゃんの両脇には、レイスさんとシェーラさんの姿があったのだ。
今朝、マルディラントの広場で会った時もそうであった。
それらを考えると、今の推察は当たらずとも遠からずだと、俺は思っているのである。
まぁいずれにせよ、その辺りの事はレイスさん達に確認するつもりだ。
いや、旅の安全の為にも、絶対に確認しなければならない事である。
この先、レイスさん達は、魔物を呼び寄せる『ガライの竪琴』になる可能性があるのだから……。
(それにしても……前途多難だな。旅の初日から、いきなりこれかよ……)
と、そこで、服の内側にいるラーのオッサンが、小声で話しかけてきた。
「……コータローよ。空を見ろ」
「ん、空?」
俺は空を見上げた。
「だいぶ日も傾いてきた。早くこの森を抜けた方がいい。夜は魔の瘴気が地上に現れやすくなる。昼と違い、魔物も活発になるぞ。今のところ周囲に魔物の気配は感じないが、これから先、どうなるかわからんからな」
今の内容に少し引っ掛かる部分があったが、確かにその通りである。
日がある内にとっとと森を抜けて、その先にあるフィンドへと向かわねばならないのだ。
俺はそこで治療中のレイスさん達に視線を向ける。
するともう治療も終わったのか、4人共、俺の方へと向かっているところであった。
レイスさんとシェーラさんの歩く姿を見る限り、かなり傷は回復したようである。
この様子ならもう出発しても問題はなさそうだ。
4人は俺の前に来ると、まずアーシャさんが口を開いた。
「コータローさん、治療は終わりましたわよ。それと……レイスさんから話があるそうですわ」
俺はレイスさんに視線を向ける。
すると突然、レイスさんは両膝と両掌を地面に付き、土下座の一歩手前のような姿勢になったのである。
「コータローさん……本当に申し訳ないことをしたッ! 今回の魔物の襲撃は、私達が原因なのだ。そして……私は貴方に黙っていた事がある。実は――」
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