Lv15 旅立ち
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朝の穏やかな日差しが降り注ぐ、雲一つない青空の元、マルディラントの1等区域内にあるイシュラナ神殿から、重厚な女神の鐘が鳴り響いた。神官達の朝の礼拝を告げる鐘の音である。
ここに住まう者ならば、毎朝聞えてくる日常の音だ。
(結構大きな音だな……チャペルの結婚式場とかで鳴ってるのよりも、重くて甲高い音がする……さぞや、良い職人の手によって作られているんだろう。ま、そんな事はさておき……ようやく着いたみたいだ)
俺は今、アーシャさんと共に、2等区域の北側にある広場にやってきたところであった。
周囲を見回したところ、どうやらここは憩いの広場のようで、石で作られたベンチや、馬に跨る騎士の石像に、花壇といったモノが視界に入ってくる。
また、それらのベンチには、のんびりと腰を下ろす人々の姿も、チラホラとだが確認できた。
それはほのぼのとした平和な光景であった。なぜか分からないが、この光景を眺めているだけで、妙に気分が落ち着いてくる。
とはいえ、こうして広場に突っ立っていても仕方がないので、俺達もその辺の空いてるベンチに座り、暫し寛ぐことにしたのである。
で、なぜここに来たのかというと……それは勿論、ここがレイスさん達との待ち合わせの場所になっているからだ。
そう……今日はいよいよ、ガルテナへと出発する日なのである。
しかし、まだレイスさん達は来てないようであった。が、もうそろそろ来る頃だろう。
なぜなら、昨日の打ち合わせで、イシュラナの鐘が鳴ったら、この広場に集合という事になっているからである。
ベンチに腰を下ろしたところで、アーシャさんが話しかけてきた。
「コータローさん、全員揃いましたら、出発する前に、この広場の隣にあるイシュラナ神殿に寄って行きましょう」
「イシュラナ神殿に? なんでですか?」
俺はそう言って、広場の向こうに見える古代ギリシャの神殿みたいな建物に目を向けた。
「これは聞いた話なのですが、旅人達の間では、イシュラナ神殿で道中の安全を祈ってから出発するのが習わしみたいですわよ」
「へぇ〜そうなんですか」
世界は変わっても、こういう験を担ぐ行為は同じなようだ。
また、それを裏付けるかのごとく、イシュラナ神殿へと出入りする冒険者らしき者達や、旅人達の姿が確認できるので、アーシャさんの言う通りなのかもしれない。
ちなみに、俺は信心深い人間ではないから、そういうのはあまり気にしない方だ。
だがこういう事は、信じる信じないに関わらず、やっておくと気分的にすっきりするので、やっておいた方が良いのだろう。
「じゃあ、俺達もそれに習いますかね。初めての本格的な長旅ですし」
「ええ、是非そうしましょう」
俺はそこでアーシャさんに視線を向けた。
今日のアーシャ
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