Lv14 旅の仲間
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[T]
俺はアーシャさんの迫力にたじろぎ、彼女のガルテア行きを認めてしまった。が、その後も、俺達の打ち合わせは続いた。
そして、旅の準備をする為に午後にもう一度会うという約束をして、この場は一旦お開きという事になったのである。
洞穴の外に出たところで、アーシャさんは風の帽子を被り、俺に振り返った。
「では、コータローさん。お父様をお見送りした後に、またお邪魔しますから、それまでに少し準備はしておいて下さいね」
「了解です……。それではお気を付けてお帰り下さい」
「それじゃ、また後で」
その直後、アーシャさんは白い光に包まれて、マルディラントへと帰って行ったのであった。
俺はその光景を見ながら、大きく溜め息を吐いた。
「はぁ……何か、えらい面倒臭い展開になってきたなぁ。まさか、アーシャさんがここまで強引だとは……」
と、そこで、首に掛けたラーのオッサンが話しかけてきた。
「コータローよ。疲れているところ悪いが、ヴァロム殿から言付かっている事がある」
「言付かっている事……まだ何かあるのか?」
俺は少しゲンナリとした。
「ヴァロム殿はこう言っていた。10日経っても帰らない場合は、壁際の机の上にある黒い箱を開くように言っておいてくれ……とな」
「黒い箱? ああ、あの四角い箱の事か。でもあれはヴァロムさんの貴重品入れだから、鍵が掛かっていた気がするぞ」
「鍵は机の天板の裏に貼り付けてあると言っていた。だからそこを調べてみろ」
「天板の裏ね……」
というわけで、俺は早速調べてみる事にした。
洞穴の中に戻った俺は、机の天板の裏側を確認してみた。
すると、オッサンが言った通り、天板の裏には小さな黒い鍵が貼り付けてあったのだ。
俺はその鍵を手に取ると、黒い箱の鍵穴に挿して解錠し、箱の上蓋を開いた。
箱の中には、折り畳んである白っぽい紙と革製の茶色い巾着袋、それと、ネックレス状になった金色のメダルのような物が入っていた。
俺は3つの品を暫し眺めると、まず白い紙を手に取って机の上に広げた。
するとそこには、この国の文字でこう書かれていたのだ――
――コータローへ
今、お主がこれを読んでいるという事は、儂は王都から帰ってくることが出来なかったという事だろう。
いや、もしかすると、ソレス殿下経由で、アーシャ様から儂の身に何かあった事を聞いたからかも知れない。
まぁどちらでも構わぬが、心配はしなくても良い。
これは全て想定していた事でもあるのだ。
儂はこれから、王都で大きな波紋を起こそうと思っておる。
この国……いや、この世界の在り方をも変えるほどの大きな波紋をの。
凶悪な魔物の襲来によって滅亡した国々や、イシュマリアの様にそうなりつつある国
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