Lv12 精霊王
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イデア遺跡群を後にした俺達は、日も傾き始めた頃、ようやくマルディラント城へと帰って来ることができた。
そして、城内に入った俺とヴァロムさんは、疲れていた事もあり、そのまま客間へと移動し、中で寛ぐ事にしたのである。
俺は客間に置かれたソファーに腰かけると、強張った肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
そこで目を閉じ、イデア遺跡群からの長い道のりを思い返した。
今考えてみると、結構スリリングな帰り道だった気がする。
なぜならば、行きと違って、避けられない魔物との戦闘が何回かあったからだ。
だがとはいうものの、素早い飛行が出来るガルーダのような魔物との戦闘が少しあっただけで、魔物が大集団で攻めてくるということは無かった。
その為、それほど危機的な状況にはならなかったのが、不幸中の幸いだったのだ。
やはり、ヴァロムさんが第1陣の魔物達をすぐに始末したので、それが良かったのだろう。
あそこで手間取っていたら、俺達は魔物の大集団を相手にせねばならなかったのかも知れない。
そんなわけで、俺は今、奴等を纏めて葬ったヴァロムさんに、凄く感謝しているところなのである。
俺がそんな事を考えながら寛いでいると、ヴァロムさんが向かいのソファーに腰かけた。
「今日はご苦労さんじゃったな、コータロー。遺跡では色々とあったそうじゃし、さぞや疲れたであろう?」
「全くですよ。まさか、俺自身が試練を受ける羽目になるとは思いませんでしたからね。あれは想定外でした」
「じゃろうの。まぁそれはともかくじゃ……」
ヴァロムさんはそこで身を前に乗り出し、小声で話を続けた。
「コータローよ……それはそうと、一体、あそこで何があったのじゃ? お主は太陽神の試練を乗り越えたとか言っておったが……」
「ああ、それならば、本人に直接訊いてもらえばいいと思いますよ」
俺は胸元から、ラーの鏡を取り出した。
「なぁ、ラーのオッサン。あの時の事をヴァロムさんに説明してよ」
「なんで我が……自分で説明すればよかろう」
「な、なんじゃ、その鏡は? 喋れるのか?」
流石のヴァロムさんも、この鏡には驚いたようである。
「そうなんスよ。しかも、結構心の狭い鏡でね。まぁそれはともかく、オッサン、説明してよ。俺はもう、心身ともに疲れちゃって、上手く説明できないからさ。だから頼むわ。つーか、そもそも、何であんな試練せなアカンかったのかが、未だに分からんし」
俺は面倒くさかったのと疲れてたのとで、ラーのオッサンに丸投げした。
「クッ、礼儀知らずな馬鹿野郎め。仕方ない――」
とまぁそんなわけで、ヴァロムさんへの説明は、オッサンからしてもらう事にしたのである。
ラーのオッサンは簡単にではあるが、とりあえず、イデア神殿での事や
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