Lv12 精霊王
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それから声を震わせ、ボソリと呟いたのだ。
「まさか……あの時の男は……これを見越して……」
ヴァロムさんは腕輪を見詰めたまま無言になっていた。
この様子を見る限りだと、恐らく、何か重大な出来事を思い出したに違いない。
ヴァロムさんの様子が変だったので、俺とアーシャさんは互いに顔を見合わせると首を傾げた。
と、そこで、アーシャさんは何かを思い出したのか、ポンと手を打ったのである。
「あッ、そう言えば、遺跡で手に入れた道具の事を忘れてましたわ」
「そういや、そうだった」
俺もこの空気の所為か、それをすっかり忘れていた。
というわけで、俺はヴァロムさんにそれを報告した。
「あの、ヴァロムさん。今、ちょっといいですか?」
「ン、何じゃ?」
「試練を乗り越えた褒美かどうかはわからないのですが、ラーのオッサン曰く、精霊王からの贈り物というのを貰ったんですよ。どうしますかね?」
「ふむ。精霊王の贈り物か……。で、どんな物を貰ったのじゃ?」
「ちょっと待ってくださいね。今出しますから。フォカール!」
俺は早速、フォカールの呪文を唱えた。
そして腕を振りおろし、空間に切れ目を入れたのである。
するとその瞬間、ヴァロムさんは驚きの表情を浮かべたのであった。
「な、何じゃ、その魔法は……」
「これ、フォカールといって、空間に物を保管する魔法らしいです。贈り物の中にこれの魔法書があったので、それを使ったら修得できたんですよ」
続いてアーシャさんが、頬を膨らませてムスッと言った。
「しかも、1つしかなかったので、コータローさんだけしか修得できなかったんですの。悔しいったらありませんわ」
俺はそんなアーシャさんに苦笑いを浮かべつつも、切れ目から道具を幾つか取り出す。
そして、それらを幾つか、テーブルの上に置いていった。
「これが手に入れた道具なんですが、こういったキメラの翼とか炎の剣とか、まだ他にもあるんですけど、とにかく、凄い品々ばかりなんですよ」
ヴァロムさんはガバッと前に身を乗り出すと、目を大きく見開いた。
「こ、これはまた豪勢な贈り物じゃな……。オヴェリウスの王城にある宝物庫でも、こんな物は滅多にお目にかかれんぞい……」
「本当ですわ。ですから、これは私達だけの秘密にしておいた方が良いと思いますの。だって、歴史的な遺産ばかりなんですもの」
2人は少し興奮気味であった。
また、ヴァロムさんのこの様子を見る限りだと、キメラの翼が物凄い貴重品というのは間違いないようである。
俺は再度訊ねた。
「で、どうしますかね? 3人で分けますか?」
するとそこで、またラーのオッサンが話に入ってきたのだ。
「お話し中のところ悪いが、精霊王がその品々を贈ったのには理由があるのだぞ」
「え、何ですの、
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