Lv12 精霊王
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タロー、我が話しても大丈夫な面子なのだ。我を表に出せ」
「仕方ないな……」
俺は胸元から鏡を取り出した。
「ところで、ラーさんといったか。貴方は今、6つの名を知っていると言ったが、それは本当か?」
「ああ、本当だ。だが名前を知っているだけで、精霊王リュビスト以外は会った事も話した事もない。つまり、殆ど知らんという事だ」
「……知らんのを偉そうに自慢するなよ、オッサン。それと、精霊なのに意外と知らない事が多いんだな」
オッサンはムキになって言い返してきた。
「う、うるさい。だから言っておろう。名前しか知らんと。それとな、我等は精霊界以外の事にそれほど関心が無いのだ。精霊ならば何でも知っているなどとは思わないでくれ。不愉快だ」
「なら、もう少し控えめに言えよ」
「うるさい、この薄ら馬鹿!」
するとアーシャさんが呆れたように言った。
「また始まりましたわ……。貴方達はもう少し仲良くできないのですか」
「このオッサンが悪いんスよ」
「いいや、この馬鹿野郎が悪い」
俺とオッサンは互いに譲らない。
アーシャさんは溜息を吐く。
そんな中、ヴァロムさんは俺達のやり取りをスルーして話を進めたのであった。
「ふむ。それでは訊くが、今言った6つの存在とは何なのじゃ?」
オッサンは気を取り直して話し始めた。
「我が知っているのは、最高神ミュトラとそれに仕えし五界の王の名が、今言った6つの名前という事だけだ。精霊王リュビスト以外の事はよくわからぬ。おまけに、その前に出てきたエアルスという名も我は初めて聞いたのだ。だから、今の内容についても、我は何もわからぬのだよ」
「ふむ……わからぬか。まぁよい。じゃが、最高神ミュトラとそれに仕えし五界の王か……中々に興味深い話じゃわい。そうじゃ、ついでじゃから、これも訊いておこう。ラーさんは先程、我が話しても大丈夫な面子と言ったが、あれはどういう意味じゃ?」
「ああ、それの事か。それはそのままの意味だ」
「そのままの意味……という事は、儂等は選ばれたという事なのかの?」
「まぁそれに近いな。実は少し前にだが、精霊王の思念体がイデア神殿に現れてな、そこで告げられたのだ」
「精霊王の思念体じゃと?」
ヴァロムさんは眉根を寄せた。
オッサンは続ける。
「うむ。その時、精霊王リュビストは、我にこんな事を告げたのだ。『種を撒いた。近い将来、イデア神殿の封印を破れる者を、精霊の腕輪をした老賢者が連れてくるかもしれない。その者を試すのだ』とな。それからこうも言っていた。『その者が試練を乗り越えしとき、その者達と共にミュトラが施した九つの封印を解き、ダーマの地へいざなうのだ』とな……」
「ダーマの地じゃと……」
ヴァロムさんはそこで、自分の右手に装着してある銀色の腕輪に目を向けた。
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