Lv4 商業都市マルディラント
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達はとりあえず、城塞の中へと入る事ができたのだ。
俺は離れてゆく城塞の門と、前方で手綱を握るヴァロムさんを交互に見た。
あまりに予想外な展開だったので、今のやり取りの意味がよく分からなかったのだ。
でも、あの兵士達の様子はただ事じゃない。
あれはどう考えても、水戸の御老公一派が、散々敵をいたぶった挙句に印籠見せつける時の反応と、同系列のものなのである。
(一体、何者なんだ、この爺さんは……。まさか、元副将軍とかいうオチはないだろうな……)
これは当然の疑問であった。
というわけで、早速、訊いてみる事にした。
「あの、ヴァロムさん。さっき、兵士達が委縮してオルドラン様とか言ってましたけど、どういう事なんですか? それとアレサンドラ家というのは……」
ヴァロムさんはこちらには振り向かず、静かに話し始めた。
「ふむ。お主にはあまり関係ないじゃろうから黙っておったが、儂は以前、イシュマリアの王都オヴェリウスで、王を補佐する宮廷魔導師をしておったのじゃよ。今はもう息子に、その役目は譲ったがの」
「宮廷魔導師……」
なんとなく凄い響きの言葉である。
しかも王を補佐していたという事は、ヴァロムさんは、かなり位の高い貴族のようである。
そんな事など考えた事も無かったので、俺は今、少しショックを受けたのであった。
ヴァロムさんは続ける。
「それとアレサンドラ家はな、このマルディラントを含むマール地方を治める太守なのじゃ。そして儂は今、あそこに見えるアレサンドラ家の居城、マルディラント城へと向かっておるというわけじゃわい」
ヴァロムさんはそう言って、前方に見える城を指さした。
「そ、そうだったんですか。すごいお知り合いの方がいたのですね……」
俺も前方に聳える城へと視線を向ける。
するとそこには、白い外壁で覆われた美しい西洋風の城が、俺達を見下ろすかのように厳かに佇んでいたのであった。
[W]
城門で馬車を降りた俺達は、白いローブのようなガウンを着た中年の男に、城内へと案内された。
ちなみに荷馬車は、この城にいる馬の世話役をしている方々に、厩舎の方へと移動をしてもらった。どうやら、その辺の心配は無用のようである。
まぁそれはともかく、このマルディラント城だが、流石に太守とやらの城というだけあって、城内は品の良い身なりをした人達ばかりであった。
とはいっても、服装は案内する男のように、古代のギリシャやローマのような貴族の出で立ちをした者ばかりなので、あまり派手な感じではない。
また、鎧を着た衛兵の方々もいるにはいるが、特定の場所に立っているだけなので、決して物々しい雰囲気ではない。中にいる人々は、寧ろ、静かで厳粛な雰囲気であった。
また、俺達が進む廊下には赤い
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