Lv4 商業都市マルディラント
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大通りはそれなりに広かった。
日本の道路で例えるならば、幅にして3車線はある道路といった感じだろうか。大体、そのくらいの広さである。
だが、馬車が通れるのは大通りだけのようで、建物の脇にある裏の道は、人が擦れ違うのがやっとな細い道ばかりであった。
その所為か、大通りの沿道には、荷馬車や辻馬車がとまる停留所みたい場所が幾つか確認できた。
またこの沿道にはそれらの他に、露天商などの姿も沢山あった。
そこでは沢山の人々が買い物をしており、今もその賑わいを見せているのだ。
ついでに美味そうな匂いも漂っているので、俺の腹はさっきからグゥグゥと鳴りっぱなしなのである。
というわけで、俺は早く飯にありつきたい一心から、ヴァロムさんにそれを訊いてみた。
「あの、ヴァロムさん。だいぶ進みましたけど、どの辺りで食料を調達するんですか?」
「まずその前に、ちょっと寄らねばならぬ所があるのじゃ。じゃから、食料の買い入れは後回しじゃ」
「へぇ、そうなんですか。まぁこの辺の事はさっぱりなんで、お任せしますよ」
俺達はその後、城塞がある方向へと進んで行った。
大通りを真っ直ぐ進んで行くと、アーチ状になった城塞の門が前方に見えてくる。
そこには鎧を着こんだ数人の兵士が門の左右におり、剣や槍といった物々しい装備をして佇んでいた。恐らく、門番の衛兵だろう。
この衛兵達を見る限り、城塞から奥は、この街の支配階級が住んでいる区域に違いない。
(まぁ俺達にはあまり縁のない場所だから、別にどうでもいいが……って、え?)
などと考えていると、ヴァロムさんはそのまま門の方へと馬車を向かわせたのである。
そして門の前で、ヴァロムさんは馬車を止めたのだ。
門の兵士達が威圧感を漂わせながら、俺達の所へとやってきた。
兵士の1人が口を開く。
「ここより先は、平民の立ち入りは禁止だ! 引き返すがよいッ」
思った通りの展開だ。
ヴァロムさんはそこで、首に掛けたネックレスのような物を兵士に見せた。
「儂の名はヴァロム・サリュナード・オルドランという。アレサンドラ家の当主・ソレス殿下に用があるのでな。通してくれぬか?」
と、その直後であった。
兵士達の表情が、見る見る青褪めた感じになっていったのである。
それから兵士達は慌てた様に取り乱し、ヴァロムさんに頭を垂れたのだ。
「た、大変、失礼をいたしました。オ、オルドラン様。どうぞ、お通り下さい」
「そこまでせんでもよい。儂はもう隠居した身じゃ。では通らせてもらうぞ」
「ハッ!」
兵士達は急いで門を開き、道を空けた。
対する俺はというと、この展開をただ呆然と眺めているだけなのであった。
(ええっと……どういう事? どういう事? 何、この展開?)
疑問は尽きないが、俺
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