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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第三十四話「突入!ラインハット」
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あの日、王妃の手引きによって城に侵入した盗賊に攫われてから10年の月日が経ち、ヘンリーにとっては久しぶりの帰郷であったが、その城下町の姿は二人が予想した通りの酷い物であった。
「こ、これがあの華やかだった城下町…だと?」
城は煌びやかなままなのに城下町の建物の壁は薄汚れ、所々には皹さえ入っている。
町を歩く人の顔には笑顔は無く、何もかもをも諦めた絶望感しか見えない。
呆然としている二人の横を鎧に身を固めた戦士が憮然とした表情で歩いて来たので話を聞くと……
「この国が兵士を高い給金で集めていると聞きやって来たのだがな…はぁ。その為にこの国の民は高額の税金を搾り取られ、まともな生活すら出来ぬらしい。こんな国に仕える事などしたくない」
そう言い放ち、戦士は立ち去って行く。
何も言う事が出来ず、その後姿を見ていると地面に腰を下ろし、壁にもたれ掛かっている老人がふと此方を向いて語り掛けて来る。
「…お前さん達、何をしに来たのかは知らぬが…命が惜しければ直ぐに…立ち去りなされ。もうこの国は…人の住む場所では…無いからの」
明らかにもはや数日何も口にしていないという事が解るほどに弱りきっており、せめて何か口にと財布からゴールドを出そうとしたヘンリーだがその手は直に止まる。
老人の目が《施しなど受けたくは無い》と語っている事に気付いたからだ。
「ワシの事は…良い。じゃがせめて町の外れに居る…親子を助けてやって…くれぬか?」
老人の言葉に従って町外れにまで足を運ぶと其処にはボロボロの布を纏い痩せ細った子供を抱えた母親が居り、二人の姿を見つけると縋る様な目で見上げる。
「あ、あの、すみません。食べ物を分けてはいただけませんか?せめてこの子の分だけでも…。お支払いするお金はありませんが、この身体でも良ければ」
そう言い、布の下の何も身に着けてはいない裸身を晒そうとするとヘンリーが行き成り怒声をあげる。
「子供の目の前で何馬鹿な事を言ってるんだ!」
「ひっ!」
そう言いながら普段から常備している干し肉などの保存食を子供と母親に差し出す。
「金も身体もいらない!だから…早く食べろ」
母親は呆然としていたが、子供はヘンリーの手から奪う様にもぎ取ると一心不乱に食べ出した。
「あ…えっ?でも」
「良いから食べて。話はそれからにしよう」
リュカもまたパンや果物、飲み物などを差し出すと、それを受け取った母親は泣きながら食べ出し、子供にも水を飲ませてやる。
ヘンリーはその親子から目を逸らすと、拳を握り締めながら城を見上げる。
其処に居る敵に燃え上がる怒りを向けて。
―◇◆◇―
二人は親子に服を買うお金と食料を渡し、一先ず馬車に戻る。
城に潜り込むと
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