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俺が愛した幻想郷
俺は愛せる? 幻想郷...
吸血鬼ってこんなん?
第三十一話 可愛い可愛い相棒
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. ペットっぽいけども。知識はその都度教えるとして、どこからどこまで知らないことがあるのかもわからないのでこれも保留と。

式神が逃げるようなことはしない、もちろんする気は無い。チェックを入れておく。

FGHに限っては藍さんの単なる橙好きによる発作と見て良いだろう。しかしこれは俺にも感染しそうな発作であることは間違いないのでチェックチェックチェック!

式神が主人よりも成長するとダメ、か。主従関係が滅茶苦茶になっちゃいけないわけだ。なんだかもう既に強さのパラメーターはあずきが上回っているし、主導権を握られているような気もするし、なんだったらあずきが色々合わせているような気がしなくもないけど、了承のチェックと。

とりあえずと全部を比較し、検討して回ったメモをもう一度折って同じ場所へしまう。ご主人様が黙々と紙切れにチェックを入れているのを何も言わずに見ていた可愛い可愛いあずきちゃんに目をやると、こちらの視線に気づいて何かご注文ですかと言わんばかりに姿勢を正す。犬か貴様。

「あずき」

「ん」

ふんす、と鼻息を吐きながら名前を呼ばれた嬉しさを隠すように冷淡な返事をしたあずき。隠せていない目つきはキラキラと光っている。

「今日から俺が君のご主人様だ」

「ご主人様」

彼女の小さな唇から漏れる澄んだ――しかしまだ舌足らずな幼い声で俺の言葉の一部を復唱する。ご 主 人 様、と。いえ、まだ俺の理性は蒸発していない、こんなんで壊れたら今後が思いやられる。しかし踏ん張る。それほど愛らしくて堪らないんだよ察せ。

「俺はここに来たばかりだし、幻想郷のことはまるで分からない。あずきに教えられることは少ない。それだけじゃない、君を相棒にするだけの力が俺にあるとは思えないよ。そんな俺がご主人様でも良いのか?」

こくん。
あずきは一切の迷いもなく声のない返事を、そして了承をした。

「そうか。じゃあ、相棒になった印だ、ハグをしようじゃないか!」

すいません、理性はあるんです。先程から何度もしつこくすみません、あるんです、保ってるんです。ただのハグです。あずきを抱きしめたかっただけなんです。
心でしつこく訴えかけるように謝りながら、驚きで目を見開いているあずきを抱き締めてみた。
ちょうど彼女の顔がある俺の耳元に、子犬が鳴くような声が小さく聞こえた。彼女がもし普通の人間であり、心臓があったなら、血が通っていたら、とても暖かかっただろう、心臓の音は高鳴り、俺に音を聞かせただろう。
彼女は本物の吸血鬼、抱き寄せた身体は冷たい。心臓の音は俺のだけ。

こんなにも可愛い彼女(あずき)も、化け物であると再度確認したのだった。
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