暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜白と青の軌跡〜
止まった心、進む時間
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ために、彼をプレイヤーではなく最終ボスへとし取り除く事にした。
ライアはそれで最終ボスとなった、でも彼は自らの手で自分を殺すために『暗殺術』のスキル『オール・エンチャント』を使用した。」

「オール・エンチャント……?」

クラインさんが代表して口にする。

「自分のステータス、又は指名したプレイヤーのステータスの限界を超える所謂、最強になるスキルだよ。ただ、このスキルには弱点があって自らのHPを犠牲にした分ステータスが向上する。だから、さっきの鳳凰を後半ライア1人で倒すことが出来た。」

「ボスの残りHPを全部無くすにはライアのHP全てを使わない限り不可能だった、だから彼は犠牲するHPを全てに設定し『オール・エンチャント』を使用した。」

ストレアさんの話を聞いていた私はそんなスキルを知らなかった。

──彼が黙ってた……?

確かに私がそのスキルを知っていれば使わせる事は絶対なかった。

彼のHPと引き換えに得られる力なんて望まない。

「………ごめん……なさい……。」

私は彼に謝ることしか出来ない。

守ると誓った、一人にしないと、支えると言ったにも関わらず最後は彼に守られた。

私はただただ、謝ることしか出来なかった。

あれから数ヶ月。

今も変わらず朝はやって来ていた。

彼のいない世界なんて私は信じない。

毎日毎日彼が生きていることを願って、ナーヴギアを被る。

だが、いつも視界に映るのは真っ暗な闇。

彼はいない、目の前で死んだと告げられているかのように。

「……私、弱くなっちゃったよ蒼くん……。」

私は、もう彼のことを『あおくん』と呼ばなくなった。

そう呼んでいたのは弱かった私。

強くならなきゃいけない。

その一心で過ごしているが、正直彼のいない世界で生きる意味なんて存在しない。

そんな時、携帯に着信が入った。

──桐々谷和人──

「……キリトくん…?」

私は通話ボタンをタップして耳に近づける。

「……もしも……」

『アスナ!すぐにダイシーカフェに来てくれ!』

私の言葉を遮っていきなり要件を伝えるキリトくん。

その奥からはリーファちゃんが『お兄ちゃん、もっと落ち着いて!』と怒っている。

「えっと……キリトくん、急にどうしたの?」

私はなんとか平然を装いながら会話を続ける。

『エギルがSAO内でログアウトしたはずのプレイヤーが別のVR MMORPG内で確認したんだ!』

──え……?

「本当……なの……?」

私の声は震えていた。

ログアウトしたはずのプレイヤーが別のVR MMORPGで確認した。

と言うことは彼が生きている可能性もある。


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