第三話 嵐の中に少年は立ち
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生徒にアイドルにシンフォギア装備者かよ!」
「……今はそのようなことを言っている場合ではない」
着地し、鳳を解放するなり、翼はその手に握る刀を突き付ける。その表情には一切の予断を許さないとばかりに。
「後生だ。ここから去ってほしい。生憎と、片手間で守らせてはくれない相手なのだ」
翼の後ろでは切歌と調と戦っている響とクリスの姿が。マリアはこちらを注視しているが、それもいつまでのことか。これで援護にでも入られたらあの二人は……。
「……一つ頼みがある」
「聞こう」
「まだ四人目がいるはずだ」
“四人目”。
その単語に眉を潜める翼。鳳はそれには構わずに言葉を続けた。
「手荒な真似はしないでくれ。俺はあいつが――――」
途端、鳴り響く轟音。翼と鳳がその音源へ視線を走らせるはほぼ同時。近くで倒れている響とクリスを確認するなり、翼は跳躍して二人の下へと向かう。
鳳は翼をもう見てはいなかった。視界にいるのは先ほど自分の前から消えた灰色のシンフォギア装備者。まただ、と鳳は胸を押さえる。嗚呼――間違いないようのない。これはもう、間違いがない。
◆ ◆ ◆
「また一見さんのお出ましかよ!」
「あの子も調ちゃん達の……?」
響の呟きは正解である。マリアが怒りを滲ませつつ、その灰色のシンフォギア装備者の隣へと立つ。
「凪琴! 貴方今まで一体どこに!?」
「すいません。少しばかり雑音を調律してきたもので」
「……だから思った以上にノイズが減っているのね。マムに何て言われてきたの?」
「後方支援です」
灰色のシンフォギア装者――凪琴は言いながらマリアの前へ出る。クリスが両の手に持つガトリングガン計四門の前に立ちはだかり、片腕から伸びた鎖を回転させ、盾と為した。
雨あられと銃弾を注ぎながらクリスは一向に突破できない鎖へ舌打ちを一つ。
「このチョロマカした鎖は何だ!?」
「“私”の意味を手繰る命綱」
もう片方から伸びた鎖でクリスを打とうと腕をしならせる。一息の“タメ”の直後に繰り出される音速の鞭撃。その鎖の鞭がクリスへと届くことはなく、代わりにとばかりに切り裂かれた鎖の先端が宙を舞う。
「疾い――」
凪琴はすぐに再生を終えた鎖の先端を見ながら無意識にそう漏らす。反応出来なかったばかりかあまつさえ、堅固なこの鎖を切り裂いたと来た。――これが風鳴翼。現状シンフォギア装者最強と名高い彼の防人。
軽い気持ちで相手は出来ない。そう結論付けた凪琴はカバーリングに入ってくれた切歌に後を任せ、一旦距離を開けることにした。
「雪音、無事か?」
「アタシの事より後ろでブルってる馬鹿の面倒を見てやってくれ!」
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