暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜貪鎖と少女と少年と〜
第二話 踏み込み始めた“非日常”
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
…あいつらも装備者なのか……!?」

 何たる運命の悪戯。同時に鳳は納得していた。だからこそ放てるあの敵意。むしろ幸運だったのかもしれないと彼は振り返る。
 あの時、切歌が調を止めたのはシンフォギアを纏おうとするのを諫めた、と言ったところだろう。そこまで考え、鳳はごちゃごちゃになりそうな思考を振り払い、立ち上がる。

「ええい考えていられるか! とりあえず当たって砕ける!」

 彼女達の下に向かおうとした刹那――物音に気づき、そちらの方を向くと、鳳は全身の血の気が引くような感覚を覚えた。否、そのような生温いものではない。これは例えるならばそう――死神と向き合っているような。
 知らずのうちに、鳳はその名を口にしていた。

「ノイズ……!?」

 人のような形をしたノイズが一体、鳳目掛けて歩いて来ていた。それだけなら何と可愛らしいことか。だが今向かってきているのはヒトを問答無用で炭素へと換える死の象徴。
 当然、逃げるつもりであった。だが、焦りからか鳳は痛恨のミスを犯す。

「っ!!!」

 足をもつれさせ、無様に地面に転がってしまった。また立ち上がろうとするが――立てない。
 震えていたのだ。足が、己が、死に。大丈夫だと思っていた。自分なら上手くやれると、そんな驕りがあったのだ。だが現実は非情だった。こんなにもあっさりと死ぬのかと、むしろ受け入れられそうな気がした。
 その時――黒服サングラスの男が鳳の背中を叩く。

「君! 何をしている!? 立て! 死ぬぞ!」
「わ、分かってる! だけど……!」
「腰が抜けているのか……。だけど立ってもらうしかない。君は立って、生きるための道を走ってもらわなければならない!」
「ど、どうしてそこまで俺を……」
「大人だからだろう! そして、私は君を助けたいから助ける! 理由は要らないんだよ!」

 無理矢理鳳を立たせ、黒服の男が鳳の背中を片手で押す。もう片方の手はトランクを持っているようで塞がっている。その男の手が少しばかり大きく感じて、気づけば鳳は自分から歩けるようになっていた。

「危ない!」

 強引に男に引っ張られたと同時、戦闘の余波らしきものではじけ飛んだ椅子の破片が鳳を横切った。あのままだったら頭に突き刺さるコース。
 お礼を言おうと、振り返る鳳。その瞳には――最悪を越えた災厄がいつの間にか距離を詰めていた所が映っていた。口を開く時には男も気づいたようで、一瞬トランクと鳳、そしてノイズに視線を渡すと、口元が引き締まるのが見えた。


「――ちゃんと逃げろよ」


 トン、と優しく鳳が背中を押された。その言葉の意味と、行動で全てを察した彼は即座に男の方を向く。

「――――――」

 だが既に“終わっていた”。ノイズに触れられ、男
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ