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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第三十三話「関所にて」
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「おい、どうしたんだ。お前、ラインハットに徴兵された筈じゃ?」
「はあ、はあ。あ、あんな城に居たんじゃ何時死ぬか分かったもんじゃないからな。戦闘の中、死体に紛れて何とか逃げ出して来たんだ」

そんな声が聞こえて来たので二人は木の影に隠れてその会話を聞く。
何処と無く見覚えのあるその二人は子供の頃にリンクスを苛めていたあの兄弟の様だ。

「そんなに酷いのか?」
「ああ、特にレナス陛下の変わり様が酷すぎる。あんな王様じゃなかったのに今じゃ俺達国民の事なんか家畜としか思っちゃいねえ」

「叔父上が?」

ヘンリーはその男の言葉を聞いて驚愕する。
当時、子供心に見ても叔父は清廉潔白な人格者で彼自身も叔父を信頼し、尊敬もしていた。
その叔父がそんな事をする筈が無い、そう怒鳴り付けようと身を乗り出そうとするとリュカが腕を掴んで押し留める。

「何故止めるんだ!」
「落ち着きなよ。少し考えれば偽者がやってる事だって分かるだろう」
「あ…、そうだな。悪い、少し頭に血がのぼっていた」

リュカのその言葉に少し落ち着きを取り戻したヘンリーは両頬をパンパンと叩き、彼に向き直す。

「今日はこのまま此処で一夜を明かし、明日の朝一番でラインハットに旅立とう」
「そうだね。じゃあ、俺はもう少し話を聞いて回るからヘンリーは食べ物を馬車に持って行くついでにこれからの予定をブラウン達に伝えておいてよ」
「分かった、そっちはまかせたぞ」

ヘンリーと別れ、町の住民に話を聞いて行くリュカだが、聞こえて来るのは悪い噂話ばかりであった。




―◇◆◇―

「そうか…」

夜、用意された部屋の中でリュカは集めた情報をヘンリーに伝えたが、やはり彼の表情は冴えない物であった。

「やはり叔父上はもう」
「まだ分からないよ。洗脳されているだけかもしれないし、幽閉されている可能性だってある。諦めるのは死んだって事を確認してからでいいだろ」
「そうだな。ありがとうリュカ」

本当の事はまだ何も解らない、だからこそ諦める必要も無い。
父親を目の前で失った彼の言葉はヘンリーの心に響き、僅かな希望を灯させる。

「さあ、早く寝よう。ラインハットまでは軽く見積もっても二日はかかるからさ」
「ああ、おやすみリュカ」



翌日、まだ日が昇りきる前に彼等はアルカパの町を後にする。
途中、何度か魔物の襲撃を受けたが以前より強くなっている彼等の敵ではなく、早々に倒されるか逃げ出すかで然程旅の障害にはならなかった。

そして夕暮れになる頃には大河を挟んだ関所に辿り着いた。

「何とか此処までは来れたが無事に関所を通れるかどうか。どうせ此処の兵士にも偽王の息が掛かっているだろうしな」
「まあ、一応聞いてみよう。案
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