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何がいいのか
第一章

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           何がいいのか
 奥瀬理彩についてだ、田坂藤太はよくこう言う。
「あんな可愛い娘いないだろ」
「そうか?」
「そんなにいいか?」
「普通だろ」
 周りはその彼にいつもこう言う、藤太は背は一七七程で外見は七〇キロだ。黒髪の前の部分だけかなり伸ばしていて眉は太く面長で唇は引き締まったいる。その彼がいつもこう言うのだ。
「あんな可愛い娘宇宙に二人といないさ」
「いや、宇宙ってないだろ」
「スケール大き過ぎだろ」
「宇宙ってどれだけ広いんだ」
「世界でも大概だぞ」
「そうか、僕が思うにはな」
 藤太はさらに言う、これも常だった。
「あんな可愛い娘いないって」
「そう思うのは御前だけだろ」
「いつもそう言うけれどな」
「ああした娘普通にいるだろ」
「可愛い方にしてもな」
「普通の可愛さだろ」
 客観的に見てというのだ。
「そんなに言う程か?」
「どんなアイドルでも勝てないとか言うけれどな」
「二次のキャラでも誰でもって言うけれど」
「普通だろ、普通」
「そんな言う程か?」
「言い過ぎだろ」
「いや、僕もこれかで色々な娘見てきたけれど」
 周りだけでなくアイドルや女優、アニメや小説や漫画のキャラをだ。
「あんな可愛い娘いないって」
「主観百パーセントにも程があるだろ」
「御前ちょっと以上に変だぞ」
「この前平均点九十八・五とか言ってたよな」
「それも百点満点で」
「ああ、言ったよ」
 藤太もこのことも否定しなかった。
「実際にな」
「そんな高得点か?」
「七十点位だろ」
「というか何で百点じゃないんだよ」
「この世に完璧なものなんてないだろ」
 藤太の持論だ、この持論から述べるのだった。
「だからだよ」
「それで百点じゃないか」
「そうだっていうのか」
「そうだよ、完璧な人間なんていないんだよ」
 このことは冷静に話した、理彩についてのそれとは違って。
「だからあの娘もな」
「百点じゃないのか」
「九十八・五点か」
「それでも高得点だな」
「というか高得点過ぎるだろ」
「それはあんな可愛い娘いないからだよ」
 完全な真顔で目を輝かせて言い切った。
「この高得点だよ」
「九十八・五点かよ」
「殆ど満点だな」
「人間だから完璧じゃないにしても」
「凄い評価だな」
「いや、それが普通だろ」
 また言った藤太だった。
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