第七章
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「言うよ」
「じゃあ陰ながら応援するな」
「そうしてくれるんだね」
「吉報を期待してるな」
長渕はコーヒーを飲みつつ伊勢に言った、そして休憩から戻ってきた美咲が店に入ると何食わぬ顔に戻った。伊勢の彼女を観る目は少しばればれではないかと内心思いつつ。
その次の日の閉店になってからだ、伊勢は店の扉を自分で閉めて掃除が終わってからだった。私服に着替えて自分に帰る挨拶をした美咲に声をかけた。
「少しだけ時間あるかな」
「はい、何でしょうか」
「うん、実はお願いがあるんだ」
頬を赤くさせてだ、彼は自分の前に鞄を持って立っている美咲に話した。
「うちの店にずっといてくれるかな」
「このお店にですか」
「そうなんだ、僕と一緒にね」
勇気を必死に出しての言葉だった。
「やっていってくれるかな」
「あの、まさか」
「うん、そうだよ」
顔を真っ赤にさせた、ここで。
「美咲ちゃんが思っている通りだよ」
「そうですか」
「駄目かな、家もあるよ」
「そのお家でもですね」
「美咲ちゃんさえよかったら」
「あの」
少し、二人にとってはかなり長い間を取ってだった。美咲はそのうえで伊勢に言葉を返した。
「明日また出勤しますね」
「うん」
「その時にお返事をします」
「そうしてくれるんだ」
「弟とも話して」
「それからだね」
「お返事をします」
「じゃあ」
「明日また」
こう言ってだ、美咲は頭を少し下げてそのうえで店を後にした。伊勢も家に帰ったがこの日彼は眠られなかった。
そして次の日彼はいつもより一時間も早く出勤してそのうえで美咲を待った、彼女が来て返事をすると思うと気が気でなくついついそうしたのだ。
そして自分でコーヒーを煎れて何杯も飲みつつそわそわとして彼女を待っていた、そして遂にだった。
美咲は店に来た、すると伊勢は飛び上がらんばかりになったがそこにだった。彼女自身が来てだった。
笑顔で花束を差し出した、その花は。
「キキョウ?」
「弟とあれから話しまして」
「うん、それでだね」
「このお花買ってきました」
「ここに来るまでに」
「はい、早く開いているお花屋さんがありますね」
「ああ、そうだね」
「あそこで買ってきました」
そのキキョウ、紫のこの花をというのだ。
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