第三章
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「終わったから」
「そうね、大学に入ったら」
「ようやくよね」
「素敵な恋愛をね」
「楽しめるわ」
「そうよ、すらりとしててスポーツマンで」
私は理想の相手の話もした、喫茶店で紅茶を飲みながら友人達に話した。
「あっさりとした性格の」
「そうした人とよね」
「交際したいのね」
「そうよ」
こう言い切った。
「その時が来たって思ってるわ」
「いよいよね」
「大学に入るし」
「受験の時が終わったから」
「自由になったからには」
「そうなりたいわ」
是非にとだ、私は友人達に言った。そうして大学のキャンバスライフのことを楽しみにして入学した。しかし。
晴れて交際相手と巡り合って付き合っているがだ、ある日その彼に少し苦笑いになってこんなことを言った。
「予想外だったわ」
「何がかな」
「まさか海外からの人とお付き合いするなんて」
髭だらけのイタリア人だ、外見はルチアーノ=パヴァロッティそっくりだ。巨体で人懐っこい顔立ちだ。
「しかも十歳年上の」
「ははは、そうなんだ」
「日本に来て五年よね」
「もうそうなるね」
「二十九歳ね」
「うん、長いね」
通っている大学に在籍していて大学院で日本語や日本文学を学びながらイタリア語の先生や通訳をしている。収入は結構あるらしい。
「そうなるね」
「その貴方とお付き合いするなんて」
「まさかと思ったんだね」
「本当によ」
こう彼に言った。
「外国の人とのお付き合いはね」
「日本人と思っていたら」
「ずっと交際なんて」
それこそだった。
「思っていなかったのに」
「恋は誰となるかわからないよ」
彼は私に明るい笑顔で言ってきた、その巨体を揺らして。
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