思惑のピース
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シャマルを見届けたエレンは、何か妙に疲れた気分のままメビウスホテルへ帰っていくのだった。
グワァ。
「……!?」
一瞬、影のような何かが路地裏を走り、咄嗟に振り向いたエレンは気配こそ察したものの、どこにも姿が見えないことで首を傾げるのみだった。警戒しながらもそのまま去っていく彼女だが、実は影は先程彼女が倒して消滅しかけていたグールを一瞬で飲み込んでから再び闇へ消えたため、彼女と言えど気付けなかったのだ。
そしてわずかながらも闇の力を回復した影は一切の音を立てぬまま、病院の方へと帰っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そういやさ、シャロンって戦えるの?」
「はい?」
「だって妙に良い刀持ってるから、ちょっと気になった」
夜、バスローブの格好で私はホテルの部屋でボロボロになった私服の修繕をしてると、唐突にケイオスが尋ねて来た。彼の視線は部屋の隅に置いてある私の刀に向いており、私も今までのこともあってこの刀にはそれなりの信頼を置いていた。ただ……、
「正直に答えると……戦いに関してはポンコツだよ、私。戦闘になったら死に物狂いで逃げ回るタイプ。だからこの刀をちゃんと使いこなせているかと聞かれたら、う〜んと答えるしかないかな……」
「ふ〜ん」
「でもフレスベルグの時のように追い詰められたら、素人なりの反撃はするけどね……」
「あぁ、フレスベルグといえば管理局に交戦記録があったっけ。あんまり興味無かったけど、いい加減あの鳥も鬱陶しくなってきたし、たまには見とくか」
ホテルの部屋にある備え付けの端末を操作し、ケイオスは管理局のサーバーからミッド襲撃時のフレスベルグとの交戦記録と報告書を読み込む。映像にはレヴィを大きくして金髪にしたような、ちょっと露出が激しい女性がフレスベルグとの一進一退の高速戦闘を行っていた。
「報告には電気ショックで動きが鈍くなってたって書かれてるけど、シャロンがなんかしたの?」
「街灯を刀で斬っただけで、そんな大それたことはしてないよ。公共の設備を壊したのは悪いと思うけど、あのまま死にたくはなかったから……」
「ん、気にしなくて良いんじゃない? シャロンに死なれたら俺も困るから」
「……それにしても私、よくこんな怪鳥から逃げられたものだよ。今更ながら一気に怖くなってきた……」
「……。しかし巨体のくせにすばしっこいな、こいつ。どうやって倒そう?」
「倒そうって……簡単に言ってるけど、ケイオスはエナジー使えるの?」
「……まぁ、一応」
「そうなんだ。それならちゃんと当たればダメージが通るわけだから、相手の動きをワイヤーや鎖で止めるとかすれば? バインドは暗黒物質を宿してる敵には通じにくいし、フ
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