第五章 Over World
ウチ…来ます?
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「翼刀さん・・・・・」
が、次の言葉はまどかの返答ではなく、翼刀の問いだった。
その言葉には、少しばかりの怒気がある。
「誰かを護りたい。何かできることはないか。どうすれば助けられるのか。そう思うことが悪いと言いたいのか?」
「そうはいってないわ。ただ、その為に自分の身を破滅させることはない。私はそう言いたいのよ」
「そうは聞こえなかったけどな」
「この子は自分を軽く見すぎるのよ。そうね・・・・車にひかれそうな猫一匹助けるために、その人生をすべて魔法少女に捧げるなんて言ったら、それは」
「それでも。守りたいとここが叫んだら守るべきだ」
ここ、と言いながら胸を指す翼刀。
その瞳には絶対に譲らない、硬い意志があった。
「その結果、誰かが悲しむとしても?」
「・・・・・」
「あなたがいなくなって、悲しむ人がいるとして・・・・それでもあなたは自分の命を投げ出すの?」
「だからそうならないようにするんだろ」
ほむらの言葉に一瞬黙った翼刀だが、返答そのものは即座に口から出てきていた。
そう
何かを護って、誰かが、もしくは自分が犠牲になる。
よくあることだ。
そう、自己犠牲は美しく尊い。
だが、その結果悲しむ人がいては意味がない。
暁美ほむらはそう言う。
残された人の悲しみを考えてと。
だが、鉄翼刀はそれを踏まえたうえで言い返す。
「だったら強くなればいい。自分も含めて護れるだけの。それができないなら」
「・・・・助けるべきではない、ということ?」
「いや?そこは誰かに助けてもらう。それが仲間だろ?」
あくまでも前向き。
そして、決してあきらめない。
翼刀のその視線は、決してほむらを非難する者でも、言い負かそうとするものではない。
むしろ、その視線はほむらを含めた全体を見ているようにも見えた。
まるで、彼女の背負う「不条理」が目に見えているかのように。
そしてその視線に込められたのは、それを越えた先を求める、まっすぐな光。
「・・・・・・あなたは知らないから――――」
「ん?」
が、それを知っても、ほむらは翼刀に向かって頷くことが出来なかった。
彼女だってそんなことは知っている。
ただ、彼女は裏切られた回数の方が多すぎた。
仲間に?
否、自分自身の希望や期待にだ。
「あ、あの・・・・」
重々しい空気の中、まどかがオズオズと手を上げて発言する。
あのさやかだって黙ってしまう重さだというのに話しかけられるあたり、まどかの方が肝は座っているかもしれない。
と
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