暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
神話世界に喧嘩売ってみた、あるいは第二回異邦人のお茶会
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
それでいいじゃないですか。

「しかしまあ、ホントに・・・どうやったらあれに勝てるのかねぇ」
「あら、十六夜君にしては弱気じゃない?」
「考えてもみろよ。これでも俺はつい最近、一輝(あれ)に惨敗してるんだぞ?」

ある種ごもっともな意見。その完全な敗北があるからこそ今の彼がある以上、『勝てる』などと考えられるはずもない。

「とはいえ、勝たないわけにはいかないでしょう?」
「うんうん、何が何でも勝たないと」
「おやおや、そこまではっきり断言するとは」
「だって彼、私たち二人のことはまだ、本当には認めてもいないじゃない」

はっきりと告げられた意見。十六夜は目を見開きながら、同時に問いかけた。

「・・・その心は?アイツの特徴は身内に甘々だってことで、お前らの状況がヤバければ助けるだろうに」
「ええ、それは間違いないわ。彼のことだもの、私たちのことを友人だとは思ってるだろうし、危険なことがあれば助けてもくれると思うわ。それこそ、命の危険があったとしても」

そう聞けば、彼女たちの条件は鳴央達や十六夜と変わらない。しかし、その本質は異なり・・・

「でもそれは、一個人としてじゃなくて、居場所としての判断」

本質は、今彼女が述べた通りのものであった。
彼女たちが気付けたのは、元の世界での立場ゆえであろう。育った環境から気付くことが出来たという立場で言えば、それに気付くことのできる人間は比較的多い。

久遠飛鳥は、財閥の娘であったが故に。育った環境、身に宿った異能。そういったものから、相手が自分を『個人』としてみているか『組織の1パーツ』として見ているか、自然と判断が付くようになった。
春日部耀は、動物と会話できるという異能ゆえに。自分のいる群れという環境のためにいるのか、それともその中の誰かのためにいるのか。そう言った違いには、度々遭遇している。

そういった点で言えば、彼は常にはっきりと、その線引きを行っている。
箱庭に来た際。『目的のために初対面の相手であっても犠牲にしてしまおう』という考えから六実鳴央を気に入り、そのために力を尽くしたように。
その後のギフトゲームにて、六実鳴央と六実音央を救った際。六実鳴央は上記の理由であるのに対して、六実音央はあくまでも『六実鳴央のついで』であり、彼女の死は鳴央に影響があると考えて救ったように。
外面は同様になっていても、その線引きははっきりしているのだ。

今で言えば、箱庭で個人として彼の大切に入りたとえ何をしてでも救おうと考えているのは鳴央、音央、スレイブ、ヤシロ、湖札、求道丸、十六夜の七人であり。
飛鳥、耀、黒ウサギ、レティシアをはじめとするその他のコミュニティのメンバーは、あくまでも『自分の居場所』の一環でしかない。もし仮に彼女たちがコミュニテ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ