第四章
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「予想外だったわ、どうしたものかしら」
「食事戻したら?」
「前のままにね」
「そうしたらいいんじゃない?」
「今の状況をどうかって思うなら」
「そうしようかしら、けれどね」
上着を完全に脱いでスカートも脱いでから言った、完全に体操服姿になった。
「上手にいかないものね」
「ええ、ただね」
「胸はそのままじゃない」
「そっちは減ってないわよ」
「脂肪なのに」
「そういえば」
言われてだ、恵も気付いた。大きな胸はそのままだった。
「こっちはそうね」
「それはよかったわね」
「胸は変わらないのは」
「そうね、このことは本当にね」
恵もそれはいいと思った、実は胸が大きいことは彼女にとっても密かな自慢であるからだ。
「よかったわ」
「まあ前の方がずっといいんじゃない?」
「恵ちゃんマッチョになりたい訳じゃないみたいだし」
「それならね」
「実際筋肉よりも」
実際にというのだ。
「まだ前の方がいいかしら」
「じゃあ食生活は元に戻して」
「トレーニングも減らす」
「そうしていくのね」
「そうするわ、ダイエットも難しいわね」
恵は体操服から下着が見えていないかチェックしつつ友人達に応えた。
「筋肉質になりかねないのね」
「そういうことね」
「今の恵ちゃんみたいに」
「そうなるのね」
「ダイエットは中止するわ」
恵は完全に決めた、今ここで、
「そうするわ」
「うん、それじゃあね」
「そうしなさいね」
「このまま続けたら余計にマッチョになりそうだし」
「そうしてね」
友人達も言う、かくして恵はダイエットを止めてマッチョから元に戻ることにした。その話をされた母は娘にやれやれといった顔でこう言った。
「だから言ったでしょ」
「ダイエットするよりもなのね」
「そのままでいいってね」
「そうみたいね、いや本当にね」
娘は母に少し憮然とした顔で応えた。
「ダイエットも良し悪しね」
「そういうことよ、じゃあ今夜はカツカレーにするわよ」
カロリーの高いこの料理にするというのだ。
「恵ちゃんも好きでしょ」
「ええ、最近はダイエットでチキンカレーやシーフードカレーをお願いしていたけれど」
それでもというのだ。
「お願いね」
「そうするわね」
そして実際にだった、恵はこの夜久し振りにカツカレーを食べた。そのカツカレーは実に美味かった。
気になっていて 完
2017・7・26
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