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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第95話:税金を払うのは当然だが、有名税ってのは不本意だ
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、俺……大ファンなんです!」
「あ、ありがとうございます……」
ファンねぇ……私のじゃなくてマリーちゃんのファンでしょ? 私は裏方……ステージに上がってもマリーちゃんの後方でピアノを弾いてるだけなのだから。

「初めてこのカフェで歌を披露した時から、ずーっと大好きでした!」
「そ、それはどうもありがとうございます」
何で『ファンでした』って過去形なの? まぁもう解散するかもしれないから、それも間違いじゃないのだろうけど……

「この間のステージも最高でした!」
「はぁ……ありがとうございます」
あぁ……この兵士さんが騒ぐから、私に気付いてなかった人々も少しずつ近付いてきたわ。

大勢の人達に囲まれる前に、この場所から逃げ出したい……
でも興奮してる兵士さんは一人で勝手に喋り倒してるし、それを無視して立ち去る訳にもいかないわ。如何すれば良いの!?

「こらー一般兵士! 君の仕事は何だ? 憩いの一時を堪能してる女性の邪魔をする事か?!」
「え!?」
突如、私等を遠巻きに眺めてた人集りの中から、一人の男性が抜け出てきて大きな声で興奮してる兵士さんに一喝を入れる。

「こ、これはレクルト軍務大臣秘書官殿!」
軍務大臣秘書官?
って事は、この兵士さんの上司かしら?

「べ、別に邪魔をしてるワケでは「僕から見たら邪魔をしてる様にしか見えないんだよね」
いいえ。秘書官殿の見立て通りです。
私からは言えないので、貴方から宜しくお願いします。

「た、ただ……私はファンでして……」
「グランバニアの兵士が、兵士の格好をしたまま、グウランバニア城内で、誰とも会話したく無さそうな女性にしつこく話しかける事が、ファンであれば許されるというのならば、僕は宰相閣下に掛け合って『兵士が芸能に従事する人々のファンになる事を禁止して欲しい』と陳情するしかない」

「そ、そんな……」
「彼女が座ってる席をよく見なさい。店内では一番端の席で、しかも壁に向かって座っているんだ。何でだと思う?」

「え? え〜と……こ、この席が好きだから?」
「では何でこの席が好きなんだと思う?」
「……………解りません」
「本当に解らないのかい?」

「……い、いいえ。この席なら他人に話しかけられる可能性が薄いからです」
「解ってるじゃないか。それなのにファンだからと言うだけで、その可能性(希望)を打ち破ってるんだよ。彼女は優しい人だから、君の行為に対して文句の一つも言わないけど、これって凄いストレスだと思わないかい?」

「お、思います……」
「僕も君もグランバニア王家という心臓に毛が生えてる連中と付き合ってるから考えが及ばなくなってるかもしれないけど、普通の人々にこのストレスは拷問になるんだ。それは理解出来るよね?」


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