第十六話「パーフェクトガンダムVS紅椿」
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なんだろ……?
気にはしたものの、そこまで気に悩むこともないと思って僕は明日に備えて、やや堅いベッドの上に横たわった。
*
翌朝、IS学園宿場にて
「……ん? セシリア、何してんだ?」
宿場の縁側を歩いていると、庭でセシリアが何かを見つめながらしゃがみ込んでいる。
「あら、一夏さん?」
「どうした?」
「これ……何でしょう?」
「ん?」
そこには、いかにもというほど作り物の「人参」が地面に突き刺さってる光景である。そして、それを見た一夏には心当たりがあった。
「これって……」
一夏は青ざめる。
「何をしている? 二人とも……」
そこへ、一夏の後を追って浴衣姿のマリーダも歩み寄る。すると、彼女は地面に埋まる人参を目に、即座のごとく浴衣越しの胸元から拳銃を取り出して……
数発の発砲音が聞こえた。突然目の前で銃を撃ったことで、隣にいた一夏とセシリアは腰を抜かして驚いている。また、その銃声を聞いて生徒や教員らが駆け寄ってくるではないか?
「何事ですか? マリーダさん!」
千冬が何をしでかしたと、怒るかのように問うが、そんな彼女よりもマリーダは真っ先にMS側の教員たちへ振り向いた。
「どうしたんです? マリーダ中尉!」
マットが銃を懐へ戻すマリーダを見て、尋常じゃないことを悟る。
「……マット教官、ドクターTがこの付近に潜伏している可能性があります」
「なに……?」
「これを……」
「……?」
マットは、バラバラになった人参を象った造形物の残骸からチップらしき物とモニターらしき物を目視した。
「これは……!」
だとすれば、一夏をさらいに? マットの目は強張った。そして、一瞬千冬へ目を向ける。
MSの教員らは一時騒めいたが、マットは冷静に指示を出した。
「MS側の生徒たちは指示があるまで部屋で待機していなさい。それと……一夏?」
「はい……」
「俺達やマリーダさんと一緒に来てくれ?」
「……」
やはり、束が関係しているのだと知った一夏は不安になる。
「大丈夫だ。俺たちが付いている」
「一夏、心配するな? 常に私が傍にいる」
「マリーダさん……」
マリーダは、微笑みながら一夏の肩に手を添えた。
「一夏……」
そんな、一夏とマリーダの光景を見て、向こう側の縁側から見つめる箒は悲しい顔になった。そして、実の姉の千冬でさえもそんな二人を見てやや不服に思った。
――何故だ一夏、お前には私が付いているはずだ。何故、あのジオンの女将兵にばかり頼ろうとするのだ!?
千冬には、今の一夏の心境を理解することは無理だった。教員としての業務の多忙もそうだが、もとより男と女の考え方では異なる差が大きすぎる。
千冬も、そこまでは理解している。肉親よりも、どうして異性の、それも自分と同じ年上の女性で、マリーダと
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